Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)は、ポップでキャッチーなサウンドが“一度聴いたら耳から離れない”と人気の日本のロックバンド。2020年7月に突如活動休止を宣言、約1年8か月の休止期間を経て、2022年からは大森元貴(ボーカル/ギター)、若井滉斗(ギター)、藤澤涼架(キーボード)の新たな体制で活動再開を果たした。
TV番組のテーマソングやドラマ主題歌など、ヒット曲を飛ばす人気アーティストの彼らだが、実は独学で音楽を学び、学生時代から描いていた夢を実現させた。そんなMrs. GREEN APPLEに音楽との出会いや曲作り、これからの音楽活動について話を聞いた。
・Mrs. GREEN APPLEの結成はいつ頃なのでしょうか。
大森:Mrs. GREEN APPLEの前身バンドを僕と若井が組んだのは、中学生のとき。そのバンドがなくなるというタイミングで、「ちゃんと音楽で食べていけるようなバンドを作ろう」と考えたのが高校1年生の頃でした。
ちょうどそのタイミングで藤澤に出会って。名前も知らない、楽器を弾いている姿も見たことがないのに「人柄がいいな」と思って声をかけて、そこからMrs. GREEN APPLEはスタートしました。
・当時、どんなバンドにしたいという目標はありましたか。
大森:自分たちが表現したいことができるバンドでありたいと思っていました。
僕たちは運がよくて、Mrs. GREEN APPLEを組んで2回目のライブには、すでに音楽レーベルの関係者が見に来るという、不思議な現象が起こっていて。お客さんが全然いないライブ会場に音楽関係の大人たちがたくさん。
当時は「大人たち(音楽レーベルの関係者)が見てくれてやったー」という気持ちより、「いやいや、まずいでしょ。お客さんもいないのにこんなんじゃ。」という自分たちへのソワソワが勝っていて、葛藤が多かった。だからこそ一番最初に「Mrs. GREEN APPLEは現状に負けないように頑張っていくバンド」って、自分たちのルール作りが出来たんです。
そこからはありがたいことにお客さんに来ていただけるようになって。インディーズデビューの5ヶ月後、バンド結成から2年後にはメジャーデビューしました。振り返ってみても怒涛の日々でしたね。
・高校生の時には「音楽で生きていく」と決めていたと。
若井:本格的に音楽をやりたいなって思ったのは、中学校の時。(大森)元貴とMrs. GREEN APPLEの前身バンドを組んで卒業ライブをやったときに、「こんなに楽しいことないな」って感じて。
大森:10年やっていたサッカーも辞めたもんね。
若井:そう、小学校から続けてきたサッカーも辞めて音楽の道を選びました。
大森:僕は小学6年生の時に初めてバンドを組んで、その頃にはオリジナル曲も作っていて。「目立ちたい」という気持ちから始めたんですけど、中学からは黙々と曲を作るようになっていました。
・音楽は幼少期から学んでいたんですか。
若井:学んでいないです。初めて楽器に触れたのは中学2年の夏休み。ずっとサッカー部だったんですけど、夏休みに暇な時間ができて、兄のエレキギターが自宅にあったので、「これ弾けたらかっこいいだろうな」って思って、「ちょっと弾かせてよ」と始めたのがきっかけです。
軽音楽部もない学校だったので、自分がステージに立つ妄想をしながら、本当に個人的にコピーをしたりして楽しんでいました。
藤澤:僕は、吹奏楽のドラム演奏(パーカッション)を見て「かっこいい」と思って、中学校で吹奏楽部に入部しました。最初はパーカッションに憧れていたんですけど、吹奏楽の成績が良い学校だったので、適性を見られてフルートになりました。
吹奏楽の大会で、初めてメイン・ソロパートをもらって演奏したときに「フルート楽しい」ってなって。そこから音楽がめちゃめちゃ好きになって、音楽科のある高校に進学しました。
大森:僕は兄弟が自宅や車で音楽を流していて、ずっと音楽のある環境ではあったんですけど、音楽一家で育ったわけではありません。学生時代も、TVの音楽番組で流れているような日本のポピュラーミュージックばかりを聴いていました。
・音楽をどのように勉強したんですか。
大森:我流です。僕は音楽の理論はわからないので、楽譜をかけないんですよ。
結成当時から今も変わらず、僕が歌詞とメロディとアレンジまで作って、最初に1人でデモを作る。それをメンバーに渡して…って曲を作っているんですが、楽譜はかけないので、メンバーは耳コピしています。
若井:そう、いまだに。聞いた音を拾って暗譜して、スタジオまでにそれを完璧にしていく。
大森:楽譜にするということはできていないんですけど、イメージの共有のため、ディスカッションは大切にしています。歌詞の読み込みをきちんと行って、「表現したいことはこういうこと」というのを伝えて、「それってこういうこと?」って話し合うことにすごく時間を割いてきたバンドだと思います。
藤澤:みんなでスタジオに入っても、演奏どうこうよりも「この曲の何を伝えようとしているのか」「この歌詞ってどういうことなんだろう」って話し合いからいつも始まりますね。