特別展「貝に沼る —日本の貝類学研究300年史—」が、大阪市立自然史博物館にて、2025年2月22日(土)から5月6日(火・振)まで開催される。
美麗な殻を持つ貝類は、地球上では数万種類が確認されているなど、豊かな多様性を誇る生物である。とりわけ日本列島は、暖流と寒流の影響を受ける位置にあるとともに、数多くの島を擁するため、世界的にも多くの貝類が生息する地域だといえる。こうしたなか、日本では、多くの人々が貝類に魅了され、その実態に迫ることを試みてきた。
特別展「貝に沼る —日本の貝類学研究300年史—」は、江戸時代から現代まで、日本における貝類の研究とその成果をたどる展覧会。江戸時代の博物学から、近代初期の図鑑、実物標本、そして最新の研究技術まで、貝類研究の足跡を紹介する。
江戸時代には、中国から影響を受けた博物学「本草学」として、学問として貝類の研究が進められた。本展の序盤では、「木村蒹葭堂貝石標本」や「堀田龍之助貝類標本」といった貝類標本を通して、江戸時代の貝類学を紹介するとともに、同時期に西洋の生物学者が取り組んでいた日本の貝類研究にも光をあてる。
明治時代の日本には、西洋から近代科学がもたらされ、本草学は生物学へと転換することになった。会場では、その役割を貝類学において担った人々に着目。なかでも、日本での近代貝類学の展開に大きく貢献した平瀬與一郎(ひらせ よいちろう)は、多色木版画を使った貝類図鑑『貝千種』を発表している。本展では、洋画家・西川純による原画と、刷りに使われた版木を初公開する。
大正時代から第二次世界大戦後にかけて、貝類学はさまざまな学問分野に広がり、現代においては、遺伝情報に基づく系統的な分類が進展している。会場の後半では、大正時代以降の貝類学の広がりや、新しい技術を使った現代の貝類学を紹介。ミキモト(MIKIMOTO)創業者・御木本幸吉(みきもと こうきち)が作成した、半円の真珠標本などを目にすることができる。
特別展「貝に沼る —日本の貝類学研究300年史—」
会期:2025年2月22日(土)~5月6日(火・振)
会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
住所:大阪府大阪市東住吉区長居公園1-23 花と緑と自然の情報センター 2F
開館時間:2月 9:30~16:30、3月〜5月 9:30~17:00
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日に休館)
観覧料:大人 500円、高校・大学生 300円
※常設展とのセット券は、大人 700円、高校・大学生 400円
※中学生以下、大阪市内在住の65歳以上、障がい者手帳などの持参者および介護者1名は無料(要証明)
※30人以上の団体割引あり
※本館(常設展)、長居植物園への入場には、別途料金が必要(セット券除く)
【問い合わせ先】
大阪市立自然史博物館
TEL:06-6697-6221