企画展「幽玄への誘い—能面・能装束の美」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2025年4月15日(火)から6月29日(日)まで開催される。
室町時代、観阿弥・世阿弥の親子によって大成され、江戸時代には武家の式楽となった能楽と、能舞台で能と能の間で演じられる狂言。企画展「幽玄への誘い—能面・能装束の美」は、能と狂言に光をあて、装束や面、絵画資料などを、大倉集古館の所蔵作品を中心に紹介する展覧会だ。
室町時代に大成された能楽は、幕府や諸大名の保護のもと、江戸時代には武家の儀礼のための芸能としての地位を確立することになった。そのため、その内容は格調高く、人間の哀しみや怒り、懐旧や恋慕の情などを描いた悲劇が多い。また、そこで用いられる能装束は、色鮮やかで上質な絹糸を用い、高度な技術で仕立てられるというように、雅で優雅なものとなった。
本展では、能で使われる能面や能装束を展示。なかでも、紅白の段替地に多彩な小菊が生い茂る風景を織りだした《紅白段業平菱菊模様唐織》や、紫の地に金で葡萄の葉と蔓、蔦の葉を表した《紫地葡萄蔦模様長絹》を、修理を経て公開するほか、「増女」や「大飛出」といった能面、夜桜を背景とした能の舞台を彷彿とさせる横山大観の《夜桜》などを紹介する。
狂言は、重厚で優美な悲劇を主とする能と対照的に、中世の庶民の日常生活を風刺と滑稽さによって描きだす、セリフを中心とした喜劇だ。その演技では、現実の動作よりも大きく誇張し、笑いを通して人間を描きだしている。狂言では、面を用いない場合が多いものの、鬼・神・動物・精霊などに扮する際などには面を用いる。
会場では、狂言のための面や装束も紹介。動物を模した「猿」や「狐」などの狂言面に加えて、明るい茶地に細い斜縞を白く染め抜いた《茶地斜縞模様素襖》や、牛車の車輪「源氏車文」のモチーフを波模様のように表した《縹地源氏車青海波模様素襖》などの装束を目にすることができる。
企画展「幽玄への誘い—能面・能装束の美」
会期:2025年4月15日(火)~6月29日(日) 前後期で展示替えあり
[前期 4月15日(火)~5月18日(日) / 後期 5月20日(火)~6月29日(日)]
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3 オークラ東京前
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
観覧料:一般 1,000円、高校・大学生 800円、中学生以下 無料
※会期中のリピーターは500円引き
※20名以上の団体は500円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者および同伴者1名は無料
※着物(和装)で来館者は300円引き
※割引の併用不可
【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL:03-5575-5711