特別展「仙境 南画の聖地、ここにあり」が、和歌山県立近代美術館にて、2024年10月5日(土)から11月24日(日)まで開催される。

江戸期から近代まで、関西における南画の展開

中国絵画からの影響のもと、江戸時代に成立した絵画「南画(なんが)」。中国の高官が余技としてたしなんだ「文人画」や、中国・江南地方の風景を柔らかく描きだした「南宗画」を起源とする南画は、江戸時代中期に人気を集め、明治時代以降の美術においても、独自の展開を遂げてゆくこととなる。

和歌山は、山と水に恵まれた景観から、しばしば中国古典に登場する「仙境」、つまり仙人が住まう地に重ねられた。このため和歌山は、文人の詩や絵画の主題となってきた。加えて江戸時代には、日本の文人画の祖とされる祇園南海(ぎおん なんかい)をはじめ、桑山玉洲(くわやま ぎょくしゅう)、野呂介石(のろ かいせき)ら、「紀州三大文人画家」を輩出している。

また、明治時代の南画は、様式の固定化などでしばしば批判されることになった。 しかしこうしたなか、関西では南画家が活発に活動。大正時代には、近代西洋絵画の影響のもとで「新南画」が盛んになっている。他方で、伝統的な技法と精神を重視しつつ、南画の革新を目指す団体「日本南画院」が京都で結成されるなど、関西は近代の南画の展開において重要な役割を担った。

特別展「仙境 南画の聖地、ここにあり」は、とりわけ和歌山、京都や大阪を中心とする関西に着目し、南画の展開と優品の数々を紹介する展覧会。桑山玉洲の《雪山唫客図》など、江戸時代の南画から、富岡鉄斎《寿山福海図》、矢野橋村《湖山幽嵒》といった近代の作品まで、関西を軸に南画の展開をたどってゆく。

なお、「仙境 南画の聖地、ここにあり」展は、和歌山の3会場で開催するもの。和歌山県立近代美術館に加えて、田辺市立美術館では、「近代の南画家、和歌山にあり」と題して、和歌山ゆかりの南画家を紹介する一方、熊野古道なかへち美術館では、「南画の風景、和歌山にあり」のもと、和歌山の風景を描いた作品を展示する。

展覧会概要

特別展「仙境 南画の聖地、ここにあり」
会期：2024年10月5日(土)〜11月24日(日)
会場：和歌山県立近代美術館 1階展示室A
住所：和歌山県和歌山市吹上1-4-14
開館時間：9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(10月14日(月・祝)、11月4日(月・振)は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
観覧料：一般 800円(640円)、大学生 500円(400円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下、65歳以上、障害者、県内に在学する外国人留学生は無料
※10月6日(日)は入館無料
※10月26日(土)、11月23日(土)は、「紀陽文化財団の日」として大学生の観覧無料
※11月22日(金)「和歌山県ふるさと誕生日」は観覧無料

■「仙境 南画の聖地、ここにあり」会場情報
・第1部「近代の南画、関西にあり」
会場：和歌山県立近代美術館
・第2部「近代の南画家、和歌山にあり」
会場：田辺市立美術館(和歌山県田辺市たきない町24-43)
・第3部「南画の風景、和歌山にあり」
会場：熊野古道なかへち美術館(和歌山県田辺市中辺路町近露891)

【展覧会概要】
和歌山県立近代美術館
TEL：073-436-8690