エトロ(ETRO)の2024年秋冬メンズ・ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノにて発表された。
マルコ・デ・ ヴィンチェンツォが手掛ける今季のエトロは、紀元前8世紀末に活躍した吟遊詩人、ホメロスによる長編叙事詩『オデュッセイア』が着想源。エトロが培ってきた伝統を見つめ直し、マルコ自身が『オデュッセイア』から着想を得たものを感じるままに表現していく。
『オデュッセイア』には、主人公ユリシーズが、メッシーナ海峡に住む魔物のカリュブディスと怪物のスキュラに挟まれた道を通ったというエピソードがある。その際ユリシーズも感じたであろうメッシーナ海峡の風を、マルコはレイヤードで表現。ワイドな肩幅のブレザーを合わせたロングドレスは、スカート部分がまるでスカーフのように体に巻き付き、何層も重なるようにして軽やかな動きを見せている。
ふんわりと軽やかな動きのあるアイテムに対して、ストレートラインのコートやジャケットは、コレクションにシャープな印象を与える。厚手の椅子張り生地を採用したショートジャケットには、重厚感を払拭するようなデニム素材を用いたスカートを合わせた。
ペイズリー柄は、様々な技術力をもってウェアに落とし込まれる。フェルトには箔押し、レザーには転写プリントなどで施され、ジャケットやシャツとして登場した。
『オデュッセイア』に影響を受けたモチーフとして、わかりやすく人々の目を惹きつけるのはマスク。マスクは『オデュッセイア』が紡がれた当時、もしくは伝承され読み継がれていた時代の古代の劇場において、感情やキャラクターを表現し、舞台上での気持ちの変化に合わせて使用されていたという“道具”だ。
コレクションでは、存在感を放つ大きさのネックレスや、さりげなく耳元でその存在を主張するイヤリング、ブレスレットに、マスクモチーフを採用した。