Y-3(ワイスリー)2015年春夏コレクションが、パリ・メンズファッションウィーク期間中、コルドリエ修道院にて発表された。サーフカルチャーとパンク。今季のコレクションは、この2つの融合を図っている。
ショーはブラックをベースにした、ブランド得意のストリートスタイルでスタートする。スポーティーな生地を使ったセットアップやブルゾンに、ネオプレン素材やアディダスが誇るBOOSTTM(ブースト)フォームテクノロジーを搭載したハイテクスニーカー。ルーズなシルエットをベースにしたコレクションは、時にはスカートなどのアイテムにクチュールライクなギミックが織り交ぜられ、モード感な表情も見せる。しばらくすると、徐々にホワイトを中心にしたルックに変化してゆき、最後はトロピカルなフラワー柄を取り入れたスタイルが次々と現れた。
今回の鍵となったサーフカルチャーだが、中でも際立ったのは、いわゆるハワイのリゾートスタイルを表現したともとれるアプローチ。カンカン帽やショートパンツ、サンダルといったようなリゾートにはマストのアイテムに加え、アロハシャツに見られるような手書き風の柄、後半現れたフラワー柄などが存在感を放つ。ただしフラワー柄はダークトーンをベースにすることで程よくエッジを効かせ、ナチュラルなムードには落ち着かないようにバランスをとる。また、ターコイズブルーやピーチといったカラーや、Tシャツに見られたグラデーションのデザインも、サーフカルチャーからインスピレーションを得たものだという。
そしてパンクのエッセンスは、ストライプや裏地に使われたチェックのデザイン、極端な厚底のウェッジブーツなどに見られる。しかしそれ以上に、デザイナー山本耀司の服作りの姿勢こそが、最も大きなパンクの要素だと言えるだろう。例えば、ハワイアンプリントとシルバーカラーのフューチャーなデザインを組み合わせるといったような、大胆かつ斬新なアプローチ。こうした姿勢から感じられるのは、タブーをもいとわない革命の精神、そして未来を強く意識する視線だ。
前回に引き続き会場となったコルドリエ修道院は、フランス革命の時期、君主制に反対する人民結社コルドリエ・クラブが集った場所として知られている。時代にとらわれず、反逆精神を持ち続ける山本耀司のコレクションを発表するには相応しい場といえるだろう。未来を見据えつつ、自由を求めて抗い続けること。ファッションで一時代を築いた日本人デザイナーは、今でもなお、その姿勢の重要性を訴え続ける。スポーツとモードの交わる先から。