ヴィルドホワイレン(WILDFRÄULEIN)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月13日(水)、東京・西武渋谷にて発表された。テーマは“MEMENTO MORI”。
デザイナー・ループ志村にとって、最高の顧客であった女性への鎮魂歌となった今季のヴィルドホワイレン。彼女は毎日、彼のアトリエを訪ね、服が完成するまで決して帰ろうとしなかった。そんな彼女との愛しく懐かしい日々を偲ぶかのように、テーマに再生や復活という意味としての“MEMENTO MORI”を選択し、どこか儚く、それでいて力強さも感じられるコレクションを作り上げた。
首元に目線が集まるような、ボリューミーな襟やネックチューブ使いが印象的だった今季。中でも異素材を組み合わせたブラックのコートは、襟を極端に大きく設計。その大胆な襟が、目線を上へと向かわせる。さながら、天国にいる大事な人を無意識に見上げさせるようであった。
また散見されたのは、様々な素材や形で提案されたコート。高い位置でウエストをマークしたレザー素材のロングコート、背面にベルトを配したシングルブレストコートなど、バリエーションは多岐にわたる。
幼い頃から多ジャンルな芸術に囲まれて育ったループ志村は、コレクションアイテムに自らが描いた絵を多く落とし込んでいる。テーマともリンクするように、無意識に何かを再生させようという思いを抱きながら日頃創作活動を行っているという。今回は、一角獣のアートを採用したジャケットを展開。
幼い時に絵本で見た一角獣が強く印象に残っていたと語るループ志村が、初めて描いた絵はドラゴンだった。そんな、実在しない、実際に見たこともないような“幻”を一角獣として描き出し、現実に“再生”させた。
17世紀初頭、バロック美術において、“MEMENTO MORI”を表すモチーフとして花も多く取り上げられた。繊細な草花のジャカードを施した異素材をパッチワークのように組み合わせたコート、花柄ジャケット、花柄のジャカードを施したスカートなどが、そうした背景を思わせた。