ベルパー(BELPER)の、2024-25年秋冬コレクションを紹介。

自ら“記憶を消す”2人の突飛なラブストーリーから着想

映画をテーマにクリエーションを行うベルパーが今季着目したのは、『エターナル・サンシャイン』。互いの記憶を消してしまうカップルの恋物語で、2人の別れと絶望、そして再生を描く作品だ。“自ら記憶を消す”という突飛な設定からインスピレーションを得ており、その突発的な感覚や記憶にまつわるイメージがデザインに投影されている。

記憶にまつわる葛藤を表現

たとえば、チェック柄のベルト付きシャツやパンツ、バルーンスリーブワンピースは、所々色が抜けているグラフィカルな佇まいがアイキャッチ。曖昧にぼんやりと色が抜け落ちているデザインによって、消えていく記憶とそれに抗う様子を表現している。ぐるぐると渦を巻くような柄のニットや、波打つようなプリーツを施したエレガントなドレスもまた、記憶をめぐって葛藤する心模様を描き出しているかのようだ。

フリンジやカットジャカードで表す躍動感

動きのあるデザインも特徴的。飛行機と大陸を描いたベストやドレスには、カットジャカードを採用した。赤や黒の糸が有機的に飛び出すテキスタイルによって、躍動感を生み出している。ヴィヴィッドなブルーのニットには、レッドの幾何学模様を斜めにあしらい、袖を大胆にドロップさせてアシンメトリーなフォルムに。柄に沿うようにしてフリンジも配し、プレイフルな佇まいに仕上げている。

“逃避行”や突発的な行動を思わせるアウター

さらに、『エターナル・サンシャイン』の物語とも連動する、“逃避行”を連想させるようなアウターが揃っている。極端に丈の短いフライトジャケットや、キルティングデニムを切り替えたモーターサイクルジャケット、ふんわりとしたボリューム感のダウンジャケットなど、アクティブなアウターが散見された。トレンチコートにはあえて金属のボタンをあしらうことで意外性を表現し、物語の突発的な要素と連動させている。