ワイエムウォルツ(Y.M.Walts)が、2015年春夏コレクションを発表した。
「雨が降ったあとにできた大きな水たまりに、青空が映っていて、きれいな青色だなあと思って覗きこむと、水たまりの奥に新しい世界が広がっているような気がして…」とデザイナーの馬渕明恵が語る。今シーズンは、“水たまり”をキーワードに、可視できない世界を装いで表現した。テーマの「Im in I」は、虚数を示すI、そして私の中の私という未知の存在を意味する。
水たまりの要素は、丸いシルエットのワンピースや撥水効果のあるコートなど、さまざまなアイテムに散りばめられている。現実世界と水たまりの奥に広がる世界との距離感は、シャツやワンピースの衿に施された立体的なフォルムで表現された。
コレクションは、3部構成。1つは、蓮の花からインスピレーションを受けたライン。毎シーズン展開されているシルクプリントは、蓮の花をドット柄に見立てた印象的なデザインで登場した。画用紙に石膏で蓮の絵を描き、その上から真っ白な絵の具を塗る。ぽっこりと飛び出した部分に水彩画で色をつけた原画をインクジェットでプリントした。このパターンは、パンツやワンピース、スカートなどさまざまなアイテムで展開された。
そして、砂漠とオアシスを表現したラインでは、タウンでもアウトドアでも着ることができるようなワークウエアを展開。別々にも、セットにしても着用可能な2重スカートや、ミリタリーデザインを取り入れた3WAYのバッグなど、多様な使い方ができるアイテムが多く見られた。ベーシックカラーが多い中で、写実的に描かれた水たまりのプリントは、砂漠にうるおいを与えるようにコーディネートのポイントとなった。
さらに、現実世界と奥に広がる世界のつながりをイメージしたラインでは、花を手でつまんだイメージの刺繍が登場。鮮やかなグリーンの花柄やピンクなど、女性らしいカラーのアイテムも多く見られた。
ポケットの中に、さらに小銭が入る小さなポケットが入っていたり、フードがスタンドカラーになったりと、ディテールに遊び心がつまっていた。洋服を着用することで新しい発見があり、長く使うことで洋服の変化を楽しんで欲しいという、デザイナーの思いが伝わってくるコレクションとなった。