シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)が、2015年春夏コレクションを発表した。
テーマは、海辺の町への旅。ビーチやマーケット、ホテル、土産物店から得たアイデア1つ1つを丁寧に組み合わせ、可愛らしさとエレガントさを兼ね備えたルックを提案した。コレクションは、東京・外苑前にある青山スタジオにて、6回に分けて発表。各シーン「ホテル」や「バー」、「朝食」などのコンセプトを設け、今シーズンのアイテムを身にまとった2人のモデルが登場した。
注目は、ホテルの朝食をイメージした大胆な刺繍のマキシドレス。写実的に表現された、オマール海老や目玉焼き、フルーツ、コーヒーは、思わず食べてしまいそうなほどリアル。ナチュラルな雰囲気を持つ洗いざらしのダブルガーゼとインパクトのある刺繍だが、計算された直線的なシルエットがエレガントな雰囲気を作り出す。
その他にも、キャッチーな柄がコレクションを彩る。熱帯魚や珊瑚、貝殻とブランドロゴを組み合わせた鮮やかなプリントや、大理石の床をイメージしたジャカード、旅先でのスケッチをアイデアソースにしたプリントなど。反して、ブラック、ホワイト、ベージュのシックなパレットで表現されたドレッシーなアイテムも展開。ロングフリンジドレスやケープドレス、タイトなシルエットのミニドレスは、旅先のバーやレストランで楽しむナイトシーンを彷彿とさせた。
コレクションに花を添えるのは、キュートな小物たち。コスメのサンプルをかたどったピアスや魚のキルトクラッチバッグ、シェルシートのヘアクリップなどは、装いにアクセントと可愛らしさをプラス。シューズは、メタリックレザーを使用したパンプスやスエード地のウェッジソールサンダルなど上品なアイテムが揃った。
デザイナーの武内昭と森田美和(旧姓:藤原)が語る、2015年春夏コレクション
今シースンのアイデアはどこから生まれましたか?
武内:最近とてもお店が気になっていて、ファッションブランドにとっては、最も大切なものではないかと。シアタープロダクツがもう一度お店を見直すとしたら、どういうことができるかというところからスタートしました。
「お店」というアイデアと「海辺の町への旅」というテーマのつながりを教えてください。
森田:まずは、海辺にあるお店をイメージしました。貝殻のモチーフやお土産もの、そして海辺にあるホテルの室内、ブランケットやピローの刺繍といった要素をちょっとずつ切り取って、ひとつひとつを寄せ集めてコレクションにしました。
今季、特に力を入れたものは何ですか?
武内:特に今回のコレクションを制作するにあたって、自分たちが伝えたい、形にしたいイメージをできる限りそのまま、目に見えるように落とし込むことを気をつけていました。そこから生まれたのが、大胆で力強い仕上がりの刺繍です。
注目のアイテムを教えてください。
武内:自分たちの中で新しいと思ったのは、ダブルガーゼの素材をドレスにもっていくアイデアです。ガーゼ素材はやっぱりナチュラルなイメージがあるのですが、それがクールというか、とても新しく斬新な素材に見えるんじゃないかと思いました。洗いざらしのガーゼがこんなにエレガントだということになかなか気づけないはず。
森田:また、魚柄のオパールの生地とかも、光の加減によってちょっと色みが変わるので、海辺の太陽の日差しではすごく鮮やかですが、室内だとちょっと落としたムーディーな感じに着れます。シーンにあわせてその人らしく着こなして欲しいです。
服をデザインする上でかかせないものを教えてください。
森田:自分の身の周りのものや、カバンの中に入っているもの。生活をしているなかで、どこかに必ず見るポイントがあって、その記憶がデザインに出てきています。今シーズンだと日焼け止めクリームやベースメイクのパッケージを小物で表現しました。
お気に入りのピアスを身に着け、ユーモアあふれるコメントをした森田。対して武内は、はっきりとしたビジョンを持ち、的確にインタビューに答えた。”ファッションに積極的で、受け入れてくれる土壌がある”と武内が表現した東京で、コレクションを発表しつづけるシアタープロダクツから今後も目が離せない。