アキラーノ リモンディ(AQUILANO・RIMONDI)が、2015-16年秋冬コレクションをミラノで発表した。
1920年代を中心に、オランダで活発になった芸術ムーブメント「デ・ステイル(De Stijl)」。モンドリアンを筆頭として生み出された、直線的そして抽象的なアートの数々は、世間の視線を集めた。今季のコレクションは、そんなアートムーブメントのエッセンスを取り入れ、さらにモダンな印象にブラッシュアップしている。そしてその先に現れたのは、ミニマルなシルエットとシックなカラー、それでいて、ほどよい華やかさもたたえたデザイン。
メタリックな装飾。これは中でもとくに重要なエッセンスだろう。キャミソールやスカート、ロングコートには、スパンコールがふんだんに使われていて、きらびやかなムードを演出。ただ寒色系でまとめているせいか、どこか品のある表情が魅力的だ。それから丸金具。ベルトなど実用的な用途としてだけでなく、コートやスカート、ドレスの袖や裾などにサイズを変えつつ並べられ、ワードローブの心地よいアクセントになっていた。
後半に入ると、「デ・ステイル」の影響はむき出しになっていく。透け感のあるスカートやトップス、ドレスには、格子状のモチーフや、大小の三角形を貼り付けたような重なりのあるデザインが現れる。高めにウエストマークしたコートの袖には、内側にスパンコールで抽象的なグラフィックを描いた。
モンドリアンら「デ・ステイル」アーティストの幾何学的な作風は、究極の単純化により生まれたとの説がある。つまりコレクションではある意味、ミニマルなシルエットに、ミニマルなデザインを重ねていたということになる。親和性としては合理的なようで、結果としては矛盾してもいる。そんな独自のアプローチこそが、ストイックできらびやかな、今シーズンの世界観を作り上げていたのだろう。