ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)の2015-16年秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィークで発表された。今季のテーマとなったのは「コミックスペース」。津森の考える、漫画と宇宙のイメージがふんだんに散りばめられている。
まず現れたのは、漫画の1シーンがアメコミのタッチで落とし込まれたドレス。よく見ると、そのコマの中には、唇や、猫にも似たヒーローが描かれている。そしてグラフィックは、ドレスだけでなく、ライダース風ロングコートの裏地などにもオン。プリント、スパンコール、刺繍など手法も様々で、例え似たモチーフの連続であっても、決して飽きさせることはない。シャツやブーツには、吹き出しのようなギザギザにカットされた生地も使われた。
すると中盤、イエローのコートを主役にしたスタイルが登場。その時、手元に何かぶら下げているのが目に入った。幼い頃、絵本に出てきたような、ポップな出で立ちのロケットが、ポーチになって手からぶら下げられているのだ。ツモリの目から見れば宇宙までもが、コミックのようなタッチでキュートなモチーフに書き換えられるのだ。そうした驚きは、ショーの最後まで続いていく。
宇宙を象徴する惑星モチーフは、シルバーの生地の上から描かれ、コートなどに。その一方で、カラーを切り替えたスパンコールドレスは、まさにスペーシーという表現がぴったりだ。
コミックヒーローと宇宙。子どもの頃、誰もが夢見たような対象は、ツモリチサトの世界の中で、思ったよりも親しみやすく表現されていたのではないだろうか。フューチャリスティックと言うには温かみがあり、ほどよく強さも、そして少女らしいキュートさもあるワードローブとして。