2015年3月18日(水)、インプロセス(IN-PROCESS BY HALL OHARA)の2015-16年秋冬コレクションが東京・渋谷ヒカリエで発表された。
ガラス窓が会場の奥に設置されたランウェイ。今回のコレクションは、バウハウスやアール・ヌーヴォー、70年代のテキスタイルというノスタルジックな要素を、調和的に仕上げたものとなった。
インダストリアルで直線的なデザインのバウハウスと、ボタニカルなモチーフを多用し、曲線的な美しさが特徴のアール・ヌーヴォー。この一見対照的なテーマをミックスすることで、独創性のある感覚だけでなく、モダンな風合いを表現し、新たな美観を提示した。
ショー全体を通して、ランウェイを彩ったのは、構築的な柄がいくつも組み合わせられたルックだった。模様と模様の間が直線的なラインで区切られたもの、植物柄の身頃に、千鳥柄に編まれたニット地の袖を付けたもの……。それぞれの時代で築き上げられた、異なるスタイルが、それぞれのウェア上で融合し、流動的な美を醸し出していた。
ショー中盤には、ワントーンのルックが登場。一見シンプルなルックを織り交ぜる演出かと思わせられたが、そこには確固たる一貫性が。ブラックの生地には凸凹した厚みのあるジャカードが用いられ、そこでもテキスタイルの面白さを表現していた。生地へのこだわりは生半可なものではない。プリントされた布を切り合わせるのではなく、洋服それぞれのパーツに合わせてプリントを施すなど、にじみ出るオーラには、裏付けされた準備が存在していた。
このように、象徴的なパターンが目を惹くなか、アイテムの1点1点は、クリーンな造形を魅せた。ショーの序盤で見られた、ブルゾンとスリムなワンピースのセットアップや、シルクのドレープ感が美しいブラウスなど、ベーシックでコンテンポラリーな洋服のそれぞれが、ボディラインと呼応し、柔らかでモダンな雰囲気を漂わせた。
また、モデルの髪型でも柔らかな髪の毛の表情と、スクエアーに整えられたセットで融合されたテーマを表現。アイテム1つ1つの洗練されたデザインだけでなく、会場全体から70年代のデコラティブな美観が作り出された。