ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)が2016年春夏コレクションを発表したとき、イタリア・ミラノでは同時にミラノ万博が開催されていた。街には観光客があふれ、流行りのセルカ棒を使って写真を撮る“セルフィ”を行う旅行者を多く見かけた。
ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナは、この“セルフィ”をパフォーマンスとして採用。八百屋や陶器を扱うショップを設置し、イタリアの街に見立てた会場で、モデルたちは、思い思いの場所で立ち止まり“セルフィ”。フォークロアを意識したウェアに身を包んでいたり、ブランドの大きなショッピングバッグを持つモデルもいたりと、どことなく観光客の姿と重なって見える。
そんな演出の中発表された、今季のテーマは「Italia is Love」。デザイナーデュオは、国そのものをデザインに落とし込むという、アグレッシブなアプローチでコレクションを進めた。
ワードローブに描かれているのは、イタリアの美しい街並み。ヴェネツィアの川下りだったり、ピサの斜塔であったり、バカンスを楽しむレディたちのイラストであったり。いくつもの観光地が表現されていて、くるっとイタリアを一周したような開放的なムードをもたらしてくれる。また名産のレモンやイタリア陶器などもプリントとなったり、ピアスなどの小物として登場。
ウェアはエレガントなフレアワンピースや華奢なミニドレス、スーツなどが展開。またオーガンザに刺繍を加えた、クチュールライクなドレスやパジャマ風シャツワンピース、チャイナドレス風シャツなども揃えた。恒例のラストは、地名とその土地を象徴するイラスト入りドレスを身に着け、モデルたちが闊歩。風のようにすぎ去り、爽快な気分でショーは幕を閉じた。