バルマン(BALMAIN)が、2016年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
メゾンでクリエーションを続けることは、デザイナーにとってどういった意味を持つのだろうか。今季のコレクションノートには「次のコレクションを上手にブレンドするために今を見つめる作業を毎シーズン繰り返していると、多くのデザイナーにとって前回のコレクションをじっくりと顧みる時間を持つことが難しくなります。」と綴られている。
新作を披露すると、すぐに迫ってくる翌シーズン…。時間的拘束のある中で、H&Mとのコラボレーションは、デザイナーのオリヴィエ・ルスタンに幸運をもたらしたという。この4年間を振り返り、メゾンのスタイルを再確認した彼は、バルマンの軸をしっかりと捉え今季を迎えた。
ランウェイを彩るのは、すらりと縦に伸びたロングドレス。ウェストラインは、きゅっと絞りボディコンシャスに。クロスカットされた胸元、大きく開いた肩。露出は多いが、厭らしさは感じさせない。また、シフォンのティアードスカートも、ふわりとした素材感に反して、甘さは皆無。足首にかけてすっとしぼめて、コンパクトで美しいラインを描いている。
スイムウェアかアンダーウェアを想起させる、チューブトップやパンツにはネット素材のドレスやスカートを重ねた。コーディネートも斬新であるが、ディテールもユニーク。ジャケットのラペルは大きく、スエードトップスのショルダーは、丸みを帯びた重量感のある仕上がり。レザージャケットは、胸下で大胆にカットされ、斜め下がりのジップが取り付けられている。
強さと色気がコアな部分を占めているのだが、春夏シーズンらしい素材やパキッとした色選びが、新しさをも感じさせる。「4年間のハードワークとも言えるクリエーションを積み重ねた結果、他にないバルマンのDNAを形成することができました」というオリヴィエの言葉からは、満ちたりたシーズンであったことが伺える。