ミスター・ジェントルマン(MR.GENTLEMAN)が2016年春夏コレクションを発表。ブランドが掲げてきた、日常にすんなりと馴染む洋服“ポストモダンクロージング”を起点に、きちんと感のあるカジュアルが完成した。
ジャケット、プルオーバー、ブルゾンに至るまでトップスとアウターのシルエットは、ほとんどがドロップショルダーを採用したオーバーサイズ。そこにスキニーデニムを合わせて、ゆるくなりすぎないようにスタイリングしている。あるいは、メンズでは、ショートパンツを合わせてジェンダーレスなポイントを加味した。
そんなシルエットの中に、きちんと感を出すには上質なエッセンスが必要だ。例えば、月桂樹のモチーフ。ギリシャ神話にも登場する月桂樹は、かつては聖樹とされたもの。金の刺繍で施されたそれは、濃紺に輝き、そっとをエレガンスを添えた。それから、スカジャンのバックやプルオーバーの胸元に羽ばたいていた鷹。メキシコの国旗の真ん中に小さく描かれる鷹は、鮮やかな刺繍で大きく表現された。
ラグジュアリーの基盤となるのは、緩やかなウエスタンムード。メキシカンボーダーやチマヨ柄、少し黄みを帯びた優しい色合いの合皮のヌバックレザーなど、テキスタイルに南米の風が感じられる。アイスブルーのシャツや色褪せさせたデニム、ヒッコリーのジャケットもそうだ。透き通るような青い空と、さわやかな緑の草原を背景にした今シーズンは、爽快なワードローブが印象的であった。