パコ ラバンヌ(paco rabanne)の2016-17年秋冬コレクションが発表された。
「意表を突く」これは、今季のパコ ラバンヌを語る上で重要なキーワードである。ブラックやベージュ、グレーといった落ち着いた色彩。日本製ウールを用いたテーラードスーツ。限られた視点から覗けば、そこにはたしかにクラシックなスタイルが存在しているのだが、全体を覆うのは心を掴まれるような予想外の出来事だ。
ショーのトップバッターを切ったのは、スリーブレスのトップス。破れたタイツを彷彿とさせるようなシアーな素材、胸を包み隠すサテンのブラ。か弱ささえも感じられるこれらの要素を覆うように襟ぐりが大きくあき、腕がむき出しになったスポーティなシルエットが共存する。合わせたボトムスは、マスキュリンを象徴するウールパンツで、サイドにプリーツが施されたユニークなものだ。
その後も、様々な素材やテイストをごちゃ混ぜにした、一風変わったアイテムがランウェイを彩る。ホワイトのフレアスカートは、中綿を入れたような機能素材で仕立てられ、中央にはジップ、ストラップ部分にはファーが取り付けられている。またロングコートの前身頃には、鎧のようなレザーパッチが構えられ、ブラックのサテンドレスには、炎のマークが縫い付けられた。
80年代から着想を得たプリントや刺繍は、山の上に花が重なり、炎と花が対峙し、無秩序さに拍車をかける。
コーディネートも同様に。華奢なキャミソールにはデニムパンツをマッチさせ、リブとテクノジャージをミックスさせたニットドレスには、近未来的なブーツを合わせた。どこをとっても斬新な感じがするのだが、全体を眺めれば調和がとれているのが不思議である。