ヒロミチナカノ(hiromichi nakano)が2016-17年秋冬コレクションを東京・渋谷ヒカリエで、2016年3月18日(金)に発表した。
「前シーズンにやり残したことがあったから、それを出し尽くしたかった。同じようなモチーフや色で、冬の素材になったらどんな風に表現できるのか試してみたかった。」とデザイナーの中野裕通が語った今季のコレクション。序盤を飾ったのは、前シーズンと同様パステルカラーの、コクーンコートやワンピースだ。ペールトーンの配色は、ほっこりと心が温まる。
ボーダーや大きなドットは春夏とは違い、黒い縁取りでセパレートされているものがある。それは、まるでモンドリアンルックのようだが、斜めにしたり、曲線に変えたりすることで、オリジナリティーをだしているようだ。また、アーガイル柄を取り入れて、大きく小さくランダムにあしらうことで一味違う模様にアレンジしていた。一方で、思いっきりガーリーなカーディガンやワンピースは、レースをボンディングさせてより甘く、ハートのモチーフを添えてフェミニンに。
そして一番目を引いたのは、折り紙のデザイン。もこもこのニットに大きく折り鶴をあしらってみたり、紙飛行機のようにファブリックを折りたたんで肩や身頃にあしらったり。一見プリーツのデザインに見えるモノトーンのスカートも、シアーな素材に折りをほどこして折り紙っぽくしているのが分かる。
中野が「私の作る服はサイズが全部同じ。どんな身長の子に作る服も、サイズをデフォルメせずに服を作りたい。そうすれば、着る人の個性が出る。」と話していた。その言葉の意味は、ランウェイの最後を飾ったダコタ・ローズが証明してくれている。小柄な彼女が着る服は、他のモデルが着るミニ丈はミドル丈に、ぴったりとしたニットは緩いシルエットに。彼女の表現する服は愛らしく、着ることで個性が現れていた。最後に笑顔で手を振る姿を見て、なぜだか幸せな気持ちになった。