バレンシアガ(BALENCIAGA)は、デムナ・ヴァザリアを新アーティスティックディレクターに迎え、時代の最先端をゆく存在となった。デムナのランウェイデビューに先立ち発表された2016年プレフォールコレクションは、前を向くために歴史を振り返り、リセットすることをテーマに捧げた。
ディレクションを担当したハウスデザインチームは、1世紀に及ぶ膨大なアーカイブを振り返るところからスタート。遺産とも呼べる過去の産物と、現代的なアティチュードを駆け合わせ、メゾンの魅力を再認識させる。
伝統的なアビエイタージャケットは、1952年春夏からヒントを得て、身体にふわりと寄り添うセミフィッテッドラインに仕立てられている。1966年に発表された、大振りなチェック柄‟ウィンドウペインチェック”がコートにあしらわれ、1960年春夏のフローラル・エンブロイダリーが、プリントとなってドレスの上で再び花開く。
ドキッとさせられる蛍光イエローやシクラメンピンクといった色彩は、個を主張するのではなく、過去のキーシルエットを強調するために存在。スポーツスニーカーを連想させるイエローは、シニョンのようなニットキャップを彩り、鏡面加工を施したシルバーやゴールドは、典型的なクチュールを表現するスティレットヒールのもとでジュエリーのように輝いている。
たすき掛けにしたファースカーフやコートの襟元の上で何度も顔を出したのは、ハウスロゴ。アーカイブ・クチュールのラベルを思い起こさせ、ヘリテージピースにような大きな存在感を放っている。