ジル・サンダー(JIL SANDER)の2017年春夏メンズコレクションが2016年6月18日(土)、イタリア・ミラノで発表された。白一色の壁面と、黒の椅子がモノトーンのミニマルな世界を描き出す会場は、これから披露されるワードローブを予感させる空気を持っていた。
そぎ落とすこと、巻き戻すこと、引き算すること。最小限にシャープな美しさを持ったアイテムの数々は、目を離すことができない魅力を放っていた。冒頭、ホワイトをたっぷりと含んだ、グレーやグリーンなどの“淡い”カラーを中心に、コレクションが展開される。ごくシンプルなシャツとスラックスを合わせたルックや大きめのトレンチコート、ネックが高く伸びたブルゾンなどが、柔らかくもどこか力強さを感じる。
その力強さは、素材の選び方からくるものだろう。アウターに大胆に用いられたレザーを始め、パリッとハリのあるコットン、穏やかな表面から放たれる光沢が、形容しがたいエレガンスを持たせる要因なのだろう。
唯一用いられた柄のアイテムは、写真の色合いが反転するソラリゼーションを生かした花の柄だ。この柄と、たった1つだけ用いられたオレンジのアウターが、落ち着いたパレットに刺激を与え、魅惑的なコレクションを完成させた。