ラフ シモンズ(RAF SIMONS)の2017年春夏メンズコレクションが、2016年6月、イタリア・フィレンツェで開催された第90回ピッティ・イマジネ・ウオモで発表された。
廃墟になった古いフローレンスのレオポルダ駅でかつての人混みを連想させる会場の中、過去20年のアーカイブ266体をマネキンで展示。過去のものをそのままインスタレーションするのではなく、観衆と一体となるようにマネキンに着せることで、よりリアリティのあるブランドとしての存在を示した。
今シーズンのコレクションは、ニューヨーク出身の写真家ロバート・メイプルソープの財団とのコラボレーションによって実現。メイプルソープの代表的な作品であるモノクロ写真と、ブランドらしいビッグコートやほつれかけたニット、コンパクトなフォルムのプルオーバーベストなどのシグネチャーと合わせた。
またショーには、ボタンを外しかけたニットや歩く衝撃で脱げてしまいそうなオーバーサイズのシャツを着用した、メイプルソープの“ドッペルゲンガー”のようなモデルが登場。さらには、アメリカのミュージシャンであるパティ・スミスを思わせる黒いトラウザーと白シャツの組み合わせなどを通し、メイプルソープの世界観をフィレンツェに宿した。
過去を振り返ることで改めて感じられる、大胆な題材と独創的なセンス。現代にも新しいものとして映るそれらの歴史が、これからのブランドを暗示しているようであった。