ビューティフル ピープル(beautiful people)の2012年春夏コレクションのテーマは、「GINGIRAGIN NI SARIGENAKU」。この言葉について、ギリシャ語のOXY(賢い)とMORON(愚かな)を合わせて作られた言葉「オクシモロン(OXYMORON)」(意味の対立する語句を並べて新しい効果を狙う修辞法)を引き合いに出し、相反する概念が融合することで生まれる相乗効果やその感覚を洋服で表現したとデザイナーの熊切秀典氏は語る。
ステージ上(非日常)にパジャマ(日常)のままで登場したNirvana(ニルヴァーナ)のカート・コバーンや、日常の生活にテント一枚隔てて突如現れる移動サーカス団や飼いならされた虎をイメージ。「好きなのに傷付けたり、痛いけど気持ちよかったり、ギラギラしているけどさりげない感じ」(熊切氏)を上質な素材に施したダメージ加工や、抜け感の効いたパジャマルック、虎の刺繍がインパクト大のスカジャンなどに落とし込んだ。
1950年代のアメリカやイギリスのミリタリースタイルをモチーフにしたPコートやモッズコート、ミリタリーパンツ、リラックス感漂うロングスカートやワンピースなどは、懐かしい雰囲気を残したデザインにミニマムなサイズ感が絶妙でたまらない。
「ギンギラギンに さりげなく それが俺(beautiful people)のやり方 ギンギラギンに さりげなく さりげなく 生きる(作る)だけさ」。1980年代に誰もが口ずさみ、一世を風味したこのフレーズが再び現代に蘇って、ベーシックなトラッドスタイルが革新的なbeautiful peoplスタイルとして生まれ変わった。