ミナ ペルホネン(minä perhonen)、2017年春夏コレクションのテーマは「砂と土の記憶」。深い蒼い空の下、吹く風や水の流れによってその姿を変えながら堆積していく砂と土。その存在に自分たちのものづくりを重ね、積み重ねてきた過去、そして現在が未来へと続いていくことを想像しながらコレクションを制作した。
1つずつ名前の付けられたテキスタイルには、これまでの記憶とこれからへの想いが詰まっている。ブランドの代表的なテキスタイル「tambourine」のように、ひとつのモチーフを並べることで丸い花が一面に咲き誇るさまを表現した「jelly flower」は、スプリングコートとして提案されている。ワイドなシルエットにすっきりとした首回り、女性らしいシルエットは連鎖するフラワーモチーフと相まってフェミニンをより強調する。
同柄で登場する麻素材のフレアスカートも、シンプルなノースリーブブラウスも、夏の爽やかな風を待ちわびるような軽やかさがある。
誰もが見たことのあるような夏の景色も、ミナ ペルホネンらしいゆったりとしたシルエットに映し出している。「dew berry」は、暖かい季節になるといっぱいの栄養を蓄えて、その力を生き物たちに分け与えるような瑞々しい果実の色をリネンに染めた。この赤色が、シーズンのキーカラーとしてコレクションに点在している。一方で、「senko-hanabi」は、その名の通り線香花火がパチパチと儚くも力強く輝くさまをみているように感じられる。
未来への希望に溢ちた「hope」は、まるで洋服全体でよろこびを表しているよう。咲き誇る花は太い糸による刺繍で大胆に表現され、ワンピースの身頃はハリのあるコットン素材でエレガントに、スカートはチュールで軽やかに覆い、異なる可憐さを併せもつ。
これからの希望をのせたこの柄も、身に着ける人たちの“今の喜び”となっていくのだろう。その事実に改めて感動を覚えながら、繰り返えされるモノづくりを今後も見つめていきたい。