ハハ(ha ha)の2017-18年秋冬コレクションが、東京ファッションウィーク2日目の2017年3月21日(火)渋谷・ヒカリエにて発表された。
毎シーズン、メッセージ性のあるテーマを発信するハハが今シーズン選んだのは、すばり“東京”だ。「NEON TOKYO(ネオン トーキョー)」というテーマのもと、モノが複雑に入り組み、くっついては離れる混沌とした東京の様を、ユニークなアイデアと、蓄光素材や、ビビットな色に染めたファー、クリアPVC素材といった独特な素材使いで表現した。
常に変化する東京をファッションで表すために、ハハは、ファッションを服そのものとしてというより、パーツとして捉えた。特にコレクションの序盤に登場したピースは、そのことを明確に示していた。服と分離した大きな付け襟や、袖と側面の身頃が抜け落ちたコート、ボディの中心のみとなった服…。
続いて、これらが完成された服として登場する。ピンクやグリーンなどのネオンカラーで塗り分けられたジッパーに、同色のジッパーのついたパーツが繋ぎ合わされ、1着の服となっているのだ。
この仕様はただ単に、カスタマイズ可能な服という斬新なアイデアを実現しただけではない。ブランドのコンセプトである“ユニバーサルファッション”、つまり、ハンディを持った人も、健常者も、また、それぞれ異なる体格の人々も、あらゆる人に着られる服を目指すブランドによる、必然的な形であるのだろう。
例えば、左右で形状の異なる腕を持つ人が、異なる大きさの腕パーツを用いる必要があるなど、人によって服に求める機能が異なる現実に対応可能な、ユニバーサルなファッションが提案されているのだ。
また、様々な色のクルミボタンを全身に並べたジャケットにも、ユニバーサルファッションへの思いが表現されていた。視覚にハンディを持っている人が最も視認可能な色である黄色を文字として並ることで、メッセージが浮き上がるような工夫を施した。
あらゆる人々に向けて勇気が出るような語りかけを行った本コレクションは、背中に“東京オリンピック”の文字が書かれたダウンコートで幕を閉じた。2017年から2020年に向かって、混沌とした東京が進むユニバーサルな未来を示しているようだった。