スズキ タカユキ(suzuki takayuki) 2011年春夏コレクション。デザイナーのスズキ タカユキは、自分の意思で、それぞれのペースで一歩一歩前へ前へと進んでいく、そんな強く美しい女性を支え、拠り所のような存在になれる服を作りたかったと語る。そして出来上がったコレクションは、「forward(前へ)」と名付けられた。
中世の衣服のシルエットや、アシンメトリーなデザインでつくるリラックススタイル。 その中には、着る人が嬉しくなるような秘密のディテールがこっそり隠されている。それは世界にひとつだけの貝のボタン、シルバーのステッチ、シルク、ガーゼ、リネンの優しい肌触りなど。服は人間にとって一番近いところにある存在だからこそ、着る人に溶け込むやわらかさを持った服を作りたかったのだという。
デリケートなネックレスは有刺鉄線がモチーフ。チベットの遊牧民からインスパイアされた針入れのペンダントには、「人間だけが生と死の不条理を理解している」という意味の詩が刻まれている。はかないもの、朽ちていくものが持つ複雑な美を理解できるのは人間だけだ、というデザイナーからのメッセージだ。
イメージルックの写真では、モデルだけでなくミュージシャンや役者など様々なジャンルの人々に着せることにより、人はそれぞれ違うということを表現している。時代にあったブランドの価値を常に追い求める彼だからこそ表現できるスタイルがここにある。