アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の2018年春夏メンズコレクションがフランス・パリで発表された。
幕開けはテーラーリングの美しさ。精密にカットされたダブルブレストジャケットは、アイボリーレザーのビブフロントが特徴的なシャツと、スリムフィットのトラウザーを組み合わせた。クリーンかつ、どこか清教徒的なスタイルに、モダンな解釈が加わっていく。アウターは再構築され、キャメルカラーに、ブラック・レッド・アイボリーのチェック柄を挿入。オーバーサイズのトレンチコートには、チェックのウールシルクジャカードのパッチワークを施して、コントラストを利かせている。
極めて男性的で厳格なものもあれば、今シーズンは女性的でリラクシングな要素も含んでいる。コットンシャツは精緻な刺繍が施された。セット提案のクロップドトラウザー、あるいはフェアアイルからインスパイアされたニットをレイヤードし、端正なジャケットを重ねた。一方、レッドとネイビーのステッチ刺繍に飾られたオーバーサイズのオックスフォードシャツは、ゆったりとしたパジャマトラウザー。序盤とは全く異なるテイストで紹介されている。
当初はエレガンスを感じさせていたものは、いつの間にか過激な演出に変わる。ホワイトレザーのケープやデニムのジャンプスーツには、地形図や植物研究からインスピレーションを得たハンドスティッチやプリントが巡らされた。その表面からは赤い糸がランダムに垂れ下がり、無骨ささえ想わせる。ジャカードに至っては裏返され、シルクとウールの糸が覆いかぶさり、最初に見たようなイヴニングジャケットもずいぶん表情を変えている。
こうして移り変わるテーラードのあるべき姿。ひとつの基盤の中、粗野的な部分と優雅なものを表裏一体で魅せた今回のコレクションでは、テーラリングが人々を惹きつける、その魅力の奥深さを感じられた。