アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)の2018年春夏コレクションが発表された。
今シーズンは、ニューヨークの街中を舞台にゲリラ的にショーを敢行。ミュージックフェスティバルをコンセプトに、モデルを乗せたパーティバスが街を走り抜け、ロウワーマンハッタンやイーストヴィレッジ、ブルックリンの袋小路をジャックする形でショーが開催された。
大胆なアクションによって発表されたコレクションは、強さと自信、そして、パーティタイムのラグジュアリーさに包まれている。キーワードとなったのは、“ねじり”や”結び”といった手法だ。モデルには水原希子も登場したが、彼女が着用しているストレッチ素材のミニドレスにも、ショルダーやウエスト部分に生地をねじってできたドレープがデザインされている。また、レザーのロングドレスのルックでは、ウエスト部分でスリーブ風のパーツが結ばれている。
“ねじり”や“結び”がもたらす変則的なリズムはコレクション全体のデザインに統一感をもたらしているが、ウェアの1点1点は、統一とは真逆の“分裂”がキーワードとなっているようだ。例えば、レザーミニスカートの上からレイヤードされたボトムスは、トレンチコートを解体したパーツのようだし、グレーのセーターにはランジェリーキャミソールの右半分のみが、セーターの上からドッキングされている。
アイテムのみならず、コーディネートも分裂した印象だ。ハードなダメージが加えられたデニムと、フォーマルなノーカラーのツイードジャケットを組み合わせたり、上質で光沢感のあるジャケットに、トラック競技で着用するようなジャージを腰巻きしたり。
また、本コレクションには、アディダス(adidas)とのコラボレーションも登場した。ラグジュアリーなパーティムードが漂うコレクションに、スポーティなアイテムを積極的に組み合わせる点にも、異質なものをドッキングするユニークな姿勢を見て取ることができる。
解体とドッキングをテーマにしたコレクションが、なおもまとまった印象を見せているのは、上記のように“ねじり”や“結び”の手法を繰り返していることに加えて、素材の選び方もその一因だろう。光沢感のあるスーツ地や、美しいドレープを作るジャージー、ダメージデニムといった素材を中心に、レザーやレース、ランジェリーのシルクといった高級素材が装飾的に使用されている。それらが意外な組み合わせによって登場すること自体が、アレキサンダー ワンの唯一無二で、統一した世界観を作っているのだ。