2012年3月2日、メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)が2012-13年秋冬コレクションをパリファッションウィークで発表した。ある特定のジェスチャーからガーメントのシェイプと構造を見出した今季、"オーバーショルダー"、"ポケットに入れた手"そして"高く立てた襟"がキーワード。
肩に羽織ったショルダーコート、バックにボリュームを持たせたオーバーサイズのアウターウェア、テーラードのプルオーバー、顔が半分隠れるくらい高く立てた襟など、全てのワードローブが新しいフォルムに変容された。
クラシックなケープは、内部に隠されたもうひとつの袖がそのフォルムを形成している。外側の袖はポケットに手を入れた状態で縫い付けられた、トロンプルイユのデザイン。バックのボリュームがポイントのジャケットやドレスの袖は、バックのジッパーによてケープにもジャケットにも変化する。肘を曲げた状態で固定されたような立体的なエルボーパッチのニットウェアも印象的。
フロントとバックのパネルをを上下にシフトさせて創り出した新しいシルエットも特徴的。革新的なカットによる平面パネルの組み合わせに生じさせたズレが、フロントがローウエスト、バックがハイウエストのグラフィカルなフォルムを生み出して、ドレスは裏地が顔を見せる。バックのハイウエスト位置で巻きつけたベルトが、この新しい構造をより際立たせている。
様々な布をパッチワークのように継ぎ合わせたシリーズは、異なる長さのパネルがグラフィカルなフォルムを描く。"Kimono"は解体され、再び手作業で継ぎ合わせてドレスやスカートへと生まれ変わった。白いシャツには透明の粘着テープでストライプやコラージュを施して新たな解釈が加わった。
アクセサリーにはマニュキアに浸したようなペイントが施されたのシューズや、セメント彫刻のようなブーツが登場。内側にレザーグローブをはめたトレンチコートの袖は、ドレスに合わせてユニークなアクセサリーになった。バッグは一見フラットに見えるが、折りたたまれたバッグを広げると、本来の機能的で立体的なフォルムを取り戻す。リングやペンダントは貴金属の塊のようなデザインで、一際個性的な光を放った。