アニメーション映画を制作をする上で、大切にしていることはありますか?
とにかく“シンプル”に作ること。キャラクターの見た目や動き方の本質だけにフォーカスして、それを瞬間的なシーンで活かすことができれば、面白い作品は生まれると思います。
その上では、優秀な人材と、アニメーションを作る上で不可欠な機材や時間が必要で。たった一瞬だけれど、そこに丁寧な作業を取り入れれば、すごくシンプルで違和感のないシーンを作ることができます。
もちろん、そんな一瞬一瞬を繋げたアニメーションは、自ずと内容の密度が濃くなるし、観ている人を惹きつける。話題の実写映画よりも、何回だって観る価値のあるアニメ作品が生まれると信じています。
監督を夢中にさせるアニメーション映画の魅力を教えてください。
アニメーション映画は、魔法のような不思議なパワーがあって、それが僕の心を離そうとしないんです。もちろん、アニメーションの世界は決して“本物”ではないと分かっているけれど、キャラクターたちは確かにその世界の中で生きていて、歴史を作っていく。そしてその映画の外でさえも、彼らの生活が続いているようにすら感じられるんですよ。それは、僕にとって、永遠にとけることのない魔法のように思えるのです。
そんな大好きなアニメーションを制作する上でも、挫折を経験されたことはありますか?
ハハ、この僕が挫折なんて!と言いたいところだけれど…。(笑)残念ながら、制作には、常に挫折がつきものです。自信たっぷりで作ったアニメが、観客の期待していた内容と大きくかけ離れてしまい、全く受けなかったこともあります。
それは意外ですね。そもそも観客の“期待”とはどこから生み出されるのでしょう。
主には、宣伝や拡大広告といった存在ですね。これから観る作品に対して、良くも悪くも先入観や大きな期待を生み出します。しかし実際に作品を観終わった後に、自分が想像していたものと違うことに気づくと、裏切られたような気持ちに陥ってしまうのではないでしょうか。
では、監督が提案したい映画の楽しみ方とは?
広告に対して過剰に惑わされず、自分が自然と“これは面白そう!”と思えたものを選ぶこと。
例えば、図書館で魅力的なタイトルが目に留まって、本棚から思わず本を引き出すように映画を選ぶことができたら、内容を知らないままでも作品自体にワクワクすることが出来るでしょう。作品の魅力を自分自身で感じて、発見することが大切なことだと思います。
監督にとって、映画制作とは?
僕にとって映画制作とは、“芸術のサラダバー”のようなもの。写真・演劇・執筆・色彩・衣装・絵画・音楽…といった多くのジャンルの芸術を、サラダバーで野菜を選ぶかのように、少しずつ取り入れていく。“どうすれば美味しくなるかな”て考えながらね。
僕が愛する全てのアートを1つの形にできるというのは、映画制作でしかありえないことで。そこで完成した作品というのは、僕にとってパーフェクトな存在ですし、そう思わせてくれる映画制作に出会えたことは、本当に幸せなことです。
また監督は映画について、「観客の皆さんは、ジャック=ジャックがスーパー・パワーを持っていることを知っていますが、家族はまだ気づいていません。それが面白いポイントの1つです。様々な新しいスーパーヒーローたちと出会い、『インクレディブル・ファミリー』の世界全体は、とても大きくなるでしょう」と、気になるコメントを寄せている。
日本語吹き替え版の声優陣には、前作から引き続き、三浦友和や黒木瞳、綾瀬はるからがファミリーのキャラクター役に抜擢された。また、人やモノを瞬間移動ができる能力を持つヒーローのヴォイド役は小島瑠璃子、電気を自由自在に操れる能力を持ったヒーローのへレクトリクス役はサンシャイン池崎が声優を務める。
前作の最後に地底から登場した悪人・アンダーマイナーとの戦いが描かれるようで、家族のそれぞれが持つスーパー・パワーで奮闘&大迫力のアクションシーンが映し出されている。「私達の正体は秘密なの」と子供達に言い聞かせる母・ヘレンと「悪い奴と戦いたい!」と反発する長男・ダッシュの対比、さらにダッシュの動きを真似る末っ子・ジャック=ジャックの様子がコミカルに描かれている。
日本に先駆けて『インクレディブル・ファミリー』が公開されたアメリカでは、初登場1位はもちろん、『ファインディング・ドリー』を越え、全米歴代アニメーション作品の歴代週末オープニング記録を塗り替えるヒットとなった。3日間の興行収入は約1億8000万ドル(1ドル110円で約200億円)。
『インクレディブル・ファミリー』では、短編アニメーション作品『Bao』を同時上映。ディズニー/ピクサー作品では初となる食べ物を主人公にした作品で、せいろの中で生まれた肉まんの赤ちゃんと、人間のお母さんとの交流を描いた心温まるストーリーとなっている。
この作品のメガホンをとったのは、ディズニー/ピクサー作品史上初の女性監督かつアジア人のドミー・シー。自身の母親との関係性をもとに描いたという、もうひとつの"家族"の物語もお楽しみに。
彼らは、どこにでもいるフツーの家族…ではない。パパもママも3人の子供も、それぞれ異なるスーパーパワーを持ったヒーロー家族なのだ!超人的なパワーをもつパパ、ボブ、伸縮自在なゴム人間のママ、ヘレン、超高速移動できる長男ダッシュと、鉄壁バリアで防御できる長女ヴァイオレット。さらに、スーパー・パワーに目覚めたばかりの赤ちゃんジャック・ジャック…その潜在能力は、まだ未知数。家事も育児も世界の危機も、驚異のスキルと家族の絆で乗り越える、この夏最高の一家団結アドベンチャーが誕生した!