サスクワッチファブリックス(Sasquatchfabrix.)2018年春夏コレクションのテーマは、他界から来訪する霊的や神、聖なる人神のことを指す「まれびと(稀人・客人)」。“あの世とこの世の境目にいる”ような人をイメージして服を作り上げた。
「生と死の狭間」と言えるその危険な地点では、「安全」を考えたウェアが不可欠だ。コレクションからはまるで工事現場のユニフォームを彷彿させる、リフレクターや蛍光色を取り入れたパンツやトップスシリーズが登場した。中でも、蛍光イエローとオレンジの安全ベストが直接描かれたニットベストはユニークな一着。ヴィヴィッドなカラーで目立てば、暗闇での危険を回避できそうだ。
Tシャツの背中には、サスクワッチファブリックスから見た「あの世」と「この世」が鮮明に描かれた。「あの世」には、恐ろしい妖怪たちに襲われている人間の姿が、一方「この世」では反対に人間が妖怪を攻撃している図が映し出されている。
今季のキーワード「まれびと」は、来臨が“まれ”な神々に由来した名称。そんな“まれ”という意味合いにリンクした「少数民族」もインスピレーションの一つとなった。今季は中国の少数民族が着用していたとされる「千層衣」からインスピレーションを得たウェアも生み出した。同じ型を少しずつ大きいサイズにしていき、それを重ねて作る独特の衣装によって導かれたのは、三重にレイヤードされたシャツや羽織り。一着で重ね着しているかのようなニュアンスになる。
サスクワッチファブリックスは毎シーズン、花や草木をデザインに取り入れている。今回ビッグサイズのオープンカラーシャツの柄として選ばれたのは、「くも桜」「菖蒲草」といったラッキーチャーム的存在の草木だ。「くも桜」はアメリカのドリームキャッチャーのように、幸運を捕まえるとされており、一方「菖蒲草」は形が刀に似ており、邪気を追い出すような爽やかな香りを持つことから、中国では昔から男子にとって縁起の良い植物とされている。あの世とこの世の境では、そんなラッキーチャームは不可欠だ。