2012年3月20日、アリスアウアア(alice auaa)が2012-13年秋冬コレクションを発表した。テーマは「my private garden」。デザイナーの船越の頭に広がる夢想の世界を描いたコレクションだ。テーマの通りミッドタウンの中庭にランウェイが敷かれ、ゴシックな衣装とメイクに身を包んだファン達が期待の表情でショーを待つ。ふいに、中世ヨーロッパを意識させるような音楽が流れ、会場上部に設置されたスクリーンでインスタレーションが始まった。
森の中にたどり着く一台の車。中から出て来たのはデザイナー自身だ。彼は森の奥へと歩みを進め、木の根元に腰を下ろして夢想を始める。すると、クリノリン(スカートの骨組み)を入れたようにフォルムが四角くキープされたドレスを身につけたモデルがランウェイに現れた。バレエを踊りながら歩いてくる彼女のドレスは細部までレースが施され、爪にまでブラックリボンがつけられている。おとぎ話の主人公を連想させるかのようなロマンチックな装いはまさに夢想の世界だ。
その後もモデル毎に雰囲気も、流れる音楽も変わる、他のショーとはひと味異なるショーが展開された。白いニットのオールインワンを身にまとい、まるで猫のような気怠さでランウェイを歩くモデル、パワーショルダーのロングコートを羽織り、ロボットのように歩くモデル、フラワープリントのマーメイドドレスで上品さを振りまくモデル...。途中で立ち止まったり、身体をくねらせたり、踊ったり、女性の持つ様々な面をバリエーション豊富な服たちで表現した。
「普段自分自身をテーマにすることはないが、どうしたら見てる人に一番伝わるかを考えたときに出た答えが"my private garden"だった」というデザイナー。まさに彼のプライベートな空間を覗いているかのような、自由でユニークな発想に満ちあふれたコレクションだった。