2012年3月21日、クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)が2012-13年秋冬コレクションを発表した。「LOST」と題された今回は、ブランド初のメンズラインをメインにしたランウェイショーとなった。自然からインスピレーションを受けたデザインは、森や植物、苔などをイメージしたという。
心臓の鼓動音が鳴り響き、ドラマティックにショーは始まった。レザーの黒いコートを着て登場した最初のモデルの右腕には、群生する苔のようなモチーフが。また、今回ブランドで初めてウールのニットを使用した。シルエットもカラーも優しくソフトだが、浮き上がる模様は動物の骨のよう。細かな模様が刻まれた、グラフィカルなシャカード生地も、自然のダークサイドを映し出しているかのようだ。
おびただしい数のスタッズに覆われたトップスは激しく、挑発的。ラストルックのドレスも黒い花と蔓がからまるようなデザインで、美しいだけではない自然の驚異までをも物語る。
デザイナーの森川は、「自然がどうなっていくのか」という問いかけに基づき、決して一つでないその答えをショーで表現しようとしたのだと言う。衣服という形で我々に普遍的な問いを再提示した、印象的なショーとなった。