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鳥取県立美術館“表現の「リアル」”をめぐる開館記念展、伊藤若冲やゲルハルト・リヒターなど約200点

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鳥取県立美術館では、開館記念展「アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 —若冲からウォーホル、リヒターへ—」を、2025年3月30日(日)から6月15日(日)まで開催する。

美術表現の「リアル」をめぐる開館記念展

伊藤若冲 《象と鯨図屏風》 18世紀 江戸時代
紙本墨画・六曲一双 MIHO MUSEUM蔵 [3月30日(日)~4月20日(日)展示予定]
伊藤若冲 《象と鯨図屏風》 18世紀 江戸時代
紙本墨画・六曲一双 MIHO MUSEUM蔵 [3月30日(日)~4月20日(日)展示予定]

鳥取県立美術館の開館とともに開催される「アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 —若冲からウォーホル、リヒターへ—」展は、美術における「リアル」を探る展覧会。江戸時代から現代にかけての日本美術、西洋美術を横断的に捉え、油彩画や日本画、彫刻、写真など、約200点の名品を紹介する。

前田寛治 《西洋婦人像》 1925年(大正14年)頃
油彩、カンヴァス 鳥取県立美術館蔵
前田寛治 《西洋婦人像》 1925年(大正14年)頃
油彩、カンヴァス 鳥取県立美術館蔵

本展の背景にあるのが、鳥取県立美術館のコレクションに見られる、「リアル」への関心だ。鳥取県ゆかりの美術を中心に、国内外の優れた作品からなるそのコレクションには、近世鳥取画壇の精密な表現、洋画家・前田寛治(まえた かんじ)独自のリアリズム、そして彫刻家・辻晉堂(つじ しんどう)初期の写実表現など、「リアル」をめぐるさまざまな表現が見られる。

100名以上の作家による作品約200点を紹介

ゲルハルト・リヒター 《抽象絵画(648-1)》 1987年
国立国際美術館蔵 © Gerhard Richter 2024 (26072024)
ゲルハルト・リヒター 《抽象絵画(648-1)》 1987年
国立国際美術館蔵 © Gerhard Richter 2024 (26072024)

会場では、100名以上の作家による多彩なジャンルの作品を展示。伊藤若冲の《象と鯨図屏風》を筆頭に、ルネ・マグリット、アンディ・ウォーホル、イヴ・クライン、ゲルハルト・リヒター、舟越桂、森村泰昌などの作品を、6つのセクションを通して紹介する。

対象に肉薄する

舟越桂 《冬の本》 1988年(昭和63年)
楠に彩色、大理石
舟越桂 《冬の本》 1988年(昭和63年)
楠に彩色、大理石

セクション1「迫真と本質」では、迫真的な描写を目指した作家に着目。日本初の洋画家・高橋由一(たかはし ゆいち)の《鮭図》や、静謐な木彫を手がけた舟越桂(ふなこし かつら)の《冬の本》などを展示する。また、細密で迫真的な表現を試みた近世鳥取画壇の画家・土方稲嶺(ひじかた とうれい)、人物写実画の名手・前田寛治、そして写実的な彫刻を手がけた辻晉堂ら、鳥取を代表する3作家の作品も、一挙公開となる。

写実を超えた「リアル」

ルネ・マグリット 《レディ・メイドの花束》 1957年
油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵
ルネ・マグリット 《レディ・メイドの花束》 1957年
油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵

19世紀に写真術が成立すると、目に見えるものをそのまま再現することは、人の技巧に頼らずとも機械によっても可能となった。美術家はこうしたなか、異なる水準における「リアル」を目指すことになったのだ。セクション2「写実を超えて」では、絵画自体が現実であると気付いた作家や、現実の背後を探る作家などに目を向け、ルネ・マグリットの《レディ・メイドの花束》やアルベルト・ジャコメッティの《ディエゴの肖像》などを展示する。

色彩と物質

冨井大裕 《ゴールドフィンガー》 2007年(平成19年)
画鋲(27,225本)、指示書 東京国立近代美術館蔵
冨井大裕 《ゴールドフィンガー》 2007年(平成19年)
画鋲(27,225本)、指示書 東京国立近代美術館蔵

日常は、ひとつの現実であり、作品制作のひとつの源泉であるといえる。たとえばアンディ・ウォーホルは、大量生産品をモチーフに美術作品を手がけることになった。こうしたなか、もはや「リアル」な表現ではない「剥き出しの現実」が作品として提示されることになったのだ。セクション4「物質と物体」では、ゲルハルト・リヒターの《抽象絵画(648-1)》や、無数の画鋲を並べた冨井大裕の《ゴールドフィンガー》など、絵具や金属といった素材そのものを作品として提示する表現に光をあてる。

身体という現実

イヴ・クライン 《人体測定170》 1960年
顔料、カンヴァスに裏うちされた紙 広島市現代美術館蔵
イヴ・クライン 《人体測定170》 1960年
顔料、カンヴァスに裏うちされた紙 広島市現代美術館蔵

セクション6「身体という現実」では、「身体」に着目。従来は均整や調和を象徴するものと捉えられてきた身体は、20世紀において、不在、断虚像、断片や歪曲のもとに理解、表現されてゆくことになった。会場では、イヴ・クラインの《人体測定170》など、人々にとって身近でありながら、交換できない現実でもある身体にまつわる、美術表現の変貌を紹介する。

展覧会概要

開館記念展「アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 —若冲からウォーホル、リヒターへ—」
会期:2025年3月30日(日)~6月15日(日) 会期中に展示替えあり
会場:鳥取県立美術館 企画展示室、コレクションギャラリー1・2
住所:鳥取県倉吉市駄経寺町2-3-12
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
※5月3日(土・祝)、6月14日(土)は、21 :00まで観覧可
休館日:月曜日(4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 1,600円(1,250円)、学生 1,000円(800円)、高校生 500円(400円)、小・中学生 300円(240円)
※( )内は前売および20名以上の団体料金

■出品作家
朝倉文夫、阿部合成、カール・アンドレ、石内都、石原知明、伊藤若冲、植田正治、アンディ・ウォーホル、内田巌、岡上淑子、沖一峨、ソフィ・カル、河原温、岸田劉生、木下晋、草間彌生、スラシ・クソンウォン、イヴ・クライン、トニー・クラッグ、ギュスターヴ・クールベ、チャック・クロース、小出楢重、古賀春江、小早川秋聲、坂田一男、アウグスト・ザンダー、塩田千春、潮田登久子、志賀理恵子、島 成園、島田元旦、アルベルト・ジャコメッティ、ドナルド・ジャッド、白髪富士子、菅楯彦、鈴木其一、フランク・ステラ、曽我蕭白、高橋由一、高松次郎、竹内栖鳳、谷文晁、沈南蘋、津上みゆき、辻晉堂、土田麦僊、リクリット・ティラヴァニ、ジョルジュ・デ・キリコ、マルセル・デュシャン、冨井大裕、浜田浜雄、速水御舟、パブロ・ピカソ、土方稲嶺、藤田嗣治、舟越桂、フランシス・ベーコン、ヨーゼフ・ボイス、前田寛治、アンリ・マティス円山応挙、ピエロ・マンゾーニ、三木富雄、三岸好太郎、三島喜美代、クロード・モネ、ジョルジュ・モランディ、森村泰昌、やなぎみわ、山下菊二、山元春挙、吉原治良、淀川テクニック、ゲルハルト・リヒター、オーギュスト・ロダン、渡辺武 ほか

【問い合わせ先】
鳥取県立美術館パートナーズ
TEL:0858-24-5442(平日 9:00~17:00)

Photos(15枚)

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