2012年3月23日、ヨハン クー(Johan Ku)の2012-13年秋冬コレクションが発表された。映画「トリコロール/青の愛」からインスピレーションを受けたという今季のテーマは、「The Vision Blue」。ショーは映画のストーリーに沿って展開され、序盤は悲しみのような深い感情を、終盤は自由と再生を表現した。
最初のモデルはたっぷりとした黒のウールニットのドレスで登場。太さが違う糸で編まれたニットは、身体を侵食するような奇妙なシルエットでまるで命を宿しているようだ。ニットを得意とするヨハンクー。その技術はすみずみに渡って発揮され、編み方や柄の異なるタイツや、アシンメトリーシルエットのドレスが美しい。前半は暗い感情を表したような黒と青のみで構成されたルックが揃った。
突然全ての照明が消え真っ暗になった場内に、発光する服が浮かび上がった。ランプのよな光る服がにランウェイを歩く光景はとても幻想的。次々と登場する光るルックは、明るい場所に来ると鮮やかな青のグラフィック柄のプリントと、白と水色の糸で編まれた軽やかなニットであることがわかる。好評だった前回に引き続き今回も使用された光る素材は、糸に発光する素材を巻きつけたもので、秋冬用に手触りは暖かいものになるように工夫されている。重いトーンのカラーで統一された前半とは対照的に、後半は自由と再生をイメージさせるような白と鮮やかな青が多用された。風に揺れ軽やかな動きを見せるニットドレスが観客が印象に残った。
毎回映画からインスピレーションを受けるというクーは、ストーリーを通して変化するアンバランスな主人公の感情を見事にデザインに落とし込んでいる。前衛的なものを作っていきたいと意気込むヨハンクーの今後にも注目である。