2012年3月28日、ノゾミ イシグロ オートクチュール(NOZOMI ISHIGURO HAUTE COUTURE)が2012-13年秋冬コレクションを発表した。テーマは「TABOO」。新宿・歌舞伎町のキャバレー「ニュージャパン」跡地にてショーが開催された。
ショーのスタートと共に、梅津和時のサックスの生演奏が始まった。不安の中での毎日。そこから逃げたいけれど、逃げるということは自分の中でタブーであると石黒は語る。そんな自分の気持ちを落とし込んだコレクションは、服作りの"タブー"に挑んだコレクション。
異素材のパッチワークで構成された服は、わざとミシンの調子を狂わせて縫われている。この乱れた縫い目をどうしたら美しく見えるかを追求したという。複雑なパターンも、自由に勢いで描いた曲線をベースに、新たな形を求めて生み出されたもの。ダークなカラーには、石黒の今の気分が表現されている。
最後の曲は三上寛の「夢は夜ひらく」。すごく好きな曲だけど、普段は使わない曲を使い、最後は自らもランウェイをウォーキングした。「今回はいつもとちょっとちがうんです」という。
ひとつのどよめき
ひとつのどよめき―いま
真実そのものが、
人間どものなかに
歩みいった、
暗喩(メタファ)たちのふぶきの
さなかに。
パウル・ツェラン詩文集 飯吉光夫編、訳