ワイエムウォルツ(Y.M.Walts)の2012-13年秋冬コレクション。テーマは「beauty of withering」。冬になり、木が葉を落としても、でもその下には新しい命が春が来るのを待っている。そんなイメージで、枯れていくことの美しさがみずみずしく表現された。木をイメージした切り替えのデザインや、ボタニカルアートのような草花やベリーのプリントは、清らかな華やかさを併せ持つ。
美しさだけでなく機能性も追求し、ジャケットやコートに使われたヤクの毛のウールは軽くて防寒性と保湿性に優れている。撥水性のあるピーチタイプの生地が中の湿気を出して快適に保ってくれるブルゾンや、キルティングのジャケット、ツーウェイのコートも揃う。どのアイテムも、着やすい上に女性らしい印象を演出できるのが嬉しい。
さらに、ジャケットの肩がコンパクトに作られており、その上からコートを羽織れるように計算されているなど、細やかな心配りがデザインの随所から感じられる。コートはユニセックス仕様で、男性が着るとがらりと表情を変えて、マニッシュな魅力を浮き上がらせるのが不思議。
茶色く乾いたコケに水を与え続けたら、やがて鮮やかな緑と共に、小さな芽が顔を出した。そんな小さな希望をデザインに込めた、優しく洗練されたコレクションだ。