高級ダウンウェアブランドとして知られるモンクレール(MONCLER)が変わる。世界から8人のファッションデザイナーを迎え、2018年2月から、8つのコレクションを持つ「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」を始動させる。
8つのコレクションはそれぞれ異なるデザイナーが担当。選ばれたのは、ヴァレンティノ(VALENTINO)のピエールパオロ・ピッチョーリ、シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)のシモーネ・ロシャ、パーム・エンジェルス(Palm Angels)のフランチェスコ・ラガッツィと、ワールドワイドで活躍する海外デザイナーたちだ。
日本からはフラグメント(fragment)の藤原ヒロシ、ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)の二宮啓が抜擢。また、クレイグ グリーン、サンドロ・マンドリーノ、そしてキュレーターとしてカール・テンプラーも参加が決まった。
「モンクレール ジーニアス」は、ミラノ・ファッション・ウィークの初日2018年2月20日(火)にイベントを開催。コンサート会場さながらの大きな空間に、8つのコレクションそれぞれがシルバーのテントを張り、その中で新作を披露した。
一つひとつのコレクションには異なるテーマが設けられている。藤原ヒロシによる「モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」はサブカルチャーの鋭敏、二宮啓の「モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ」はウェアラブルな構造がキーワードとなっている。
「モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」は、アウトドアスタイルや“アメカジ風”スタイルなど独自のエッセンスが加えられ、仕上がりはカジュアル。パキっとした青色のダウンジャケットには、モンクレールのブランドロゴ、「TO THE SOUTH、TO THE WEST、TO THE EAST、TO THE NORTH」のビッグロゴ、そして藤原の証であるフラグメントのマークを背中にセット。胸元に付け外し可能なベルクロワッペン、フラップポケットを配したモデルもある。
また、ダウンと合わせるウェアとして、毛足の長いモヘアで仕上げたノルディックセーターやチェックシャツを提案。足元は重量感のあるマウンテンブーツを組み合わせている。
「モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ」は、小さなパーツを重ね合わせ作るブランドオリジナルの制作方法をダウンジャケットに応用。花びらのように小さい房状のパーツを組み合わせ、花が連なったような幾何学的なアウターを製作。ダウンの上に刺繍を施したり、チャイナボタンをあしらったりしてオリジナリティを加えている。
また、中綿を詰め込んだようなナイロンチューブを編み込んだニットも提案している。袖周り、ウエスト周りなどとにかく重量感たっぷりだが、幾重にも重なった糸の下から覗く肌の質感がセンシュアルな魅力を放っている。
ヴァレンティノを手掛けるピッチョーリによる「モンクレール ピエールパオロ・ピッチョーリ」は、ヴァレンティノで見られるエレガンスをダウンに落とし込み、従来のダウンのイメージを一新。「ピュアで本質的なもの」を追い求めたというコレクションには、イブニングドレスのような洗練されたダウンが登場している。
ウエストラインのシェイプ、裾に向かって八の字に広がるシルエットは実に優美。フードも頭全体をくるりと包み込むコンパクトなサイズ感で、装飾は削ぎ落とされ色の力で遊んでいる。
「モンクレール シモーネ・ロシャ」は唯一、ミニショー形式でコレクションを発表。会場には雪山風のセットが設けられ、その中を複数のモデルがたんたんと下山していく。イメージしたのは「ヴィクトリア時代の愛すべき女性登山家」。ボリューミーなシルエットの中に、パールやファー、オーガンザといった女性らしい素材、装飾が織り込まれ、シモーネ・ロシャらしいロマンティックなスポーツスタイルを構築。