マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)がアメリカ・ニューヨークで発表した、2018-19年秋冬コレクション。マーク・ジェイコブスの目にこの“ボリュームシルエットブーム”がどう映っているのか…。思わず尋ねたい好奇心に駆られるほど、今季のマーク ジェイコブスはボリュームがキーワードとなっている。
トップバッターのダブルカシミヤのコートは、抜群の重量感で登場した。大きく膨らんだ肩のライン、踝まで伸びたボディ。モデルの華奢なボディラインなど頭の片隅にもないことを裏付けるように、シルエットはぐんと広がっている。そして、個性的なコートの存在感をより際立たせるのが、共布で仕上げたストールとビビットな配色だ。首から耳にかけて覆った同素材・同色のストールは、コートそのものを大きく見せ、パキっとした赤は圧倒的な発色で、見るものの眼に焼きつく。
カラフルなカシミヤコートが幾度となく続くと、現れたのがファーコート。こちらも負けじとパンチの効いたカラーリングと重量感を持っている。合わせたトップス、ボトムスは、アウターと肩を並べるほどのボリューム感。ウエストには花のようなデコレーションが施されていて、着物の帯のように腰回りに鎮座する。首元にも同様のデコレーションが。本来主体であるはずの洋服そのものの形や素材を認識できないほど、それら2つの装飾は大きいものになっている。
クラシックな印象のあるグレンチェックの2ピース。ダブルのジャケットに膝下丈のスカートと、本来エレガントであるはずのピースも、シルエットと重量感で破天荒な遊びを加えた。肩は大きく左右に張り、またショルダーやボディは直角を描くようにストンと落ちる。ボックス型のジャケットには、ファーコートのインナー同様に花のようなデコレーションを添えて。つば広の帽子から覗くフェイスが唯一見える肌であって、その他はボリュームウェアに包まれていて全く肌が見えない。
対峙させるように差し込まれたのは、タイトフィットなワンピース。こちらはこれまでのピースとは全く真逆で肌に張り付くほどにタイト。中にドット柄のブラウスを着用しているにも関わらず、バストやヒップラインが露わになるほどスリムな仕様になっている。これらが休憩と言わんばかりに、ボリュームピースから顔を出すものだから、コレクション全体にリズムが生まれ、プレイフルな雰囲気を感じさせるのだ。