エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)の2019年アヴァン・プルミエールコレクションは、子供服や子供のおもちゃ、そしてゲームなどに着想を得たノスタルジックなシーズン。大人の誰もが経験した子供の頃の思い出を、モダンなストリートの要素をミックスしながら、プレイフルなワードローブに落とし込んだ。
まず目に留まるのは、子供服から連想したセーラーカラーのトップスやワンピース。身幅や袖幅などのシルエット、襟などのディテール、そして服の内側まで配したラベルまで、すべてをサイズアップして見せる今季は、ノスタルジックでありながら、ツイストを効かせたモダンなプロポーションが印象的だ。
フチを彩る小さな袖口のフリルは、ほのかにインダストリアルなテキスタイルを“愛らしく”魅せ、クリーンなポプリンシャツの首回りを囲む大きな襟は、“あどけなさ”を感じさせる。そして、アウターからボトムスに至るまで、すべてに共通する裾に向けて大きく開いたAラインのシルエットもまた、チャイルドライクな印象を生み出している。
この“愛らしさ”のもとになっているものは、メゾンの再生と再解釈からなる創造的表現に着想を得たアイディア。ステレオタイプであるはずのものに新たな視点を加えて異なるものに見せるというのは、メゾンがこれまでも変わらず行ってきたことだ。
大人になった誰しもが共通して持っている子ども時代の過去、誰しもが経験しうる記憶を辿り、新しい未来へと改変すること。子供服を想わせるノスタルジックなワードローブに見るひねりの効いたモダニティこそ、エムエム6 メゾン マルジェラが表現するコンテンポラリーであり、クリエイティビティーなのだ。