サルバム(sulvam)の2019年春夏コレクションが発表された。前シーズンのイタリア・ミラノから場所を移し、フランス・パリでプレゼンテーション形式での披露となった。ブランドにとっても、あるひとつの転機となるシーズンと言っていいだろう。

今までの創作とこれからの創作の交錯

今季のサルバムはこれまでになく優しさが感じられる。今までのサルバムとこれからのサルバムが交錯している感じだ。今までのサルバムを感じられるのは、やっぱり大胆なパターニングだったり、ヘムや縫い合わせの粗っぽさだったり。

パンツの裾は切りっぱなしで、ライニングがはみ出している状態。解れた糸もたれたまま。ニットのショルダーは荒々しく袖が付けられていて、それがフリルみたいだ。ラグランのトップスは縫い代が外にはみ出しているし、ジャケットのアウトポケットは荒々しく縫い付けられていて、裾と同じように裏地がはみ出して垂れてしまっている。

ウィメンズラインの本格的スタート

一方でこれからのサルバムを想わせるのはジェンダーレスな雰囲気だったり、フェミニンな雰囲気。前シーズン、「女性が男性の服を着た時の美しさとは。」という問いに対する答えを求めたサルバムが、今季は女性モデルも多く起用し、ウィメンズラインを本格的にスタートさせた。素材にも女性らしさを投影しており、特に今季はレース素材が多用されている。それは男女分け隔てなくあるもので、メンズのオープンカラーシャツもウィメンズのワンピースも登場している。

また、色合いもこれまでになくライトな印象で、淡いペールピンクやイエローの中にヴィヴィッドカラーを織り交ぜた配色。優しさとどこか儚ささえ感じさせるこのカラーパレットが、サルバムの新しい創造を予感させる。