タロウホリウチ(TAROHORIUCHI)の2012-13年秋冬コレクションのテーマは、「ノスタルジア」。過去と現在の狭間で揺れる、「懐かしい」という複雑な心のうちを表現した。
カラーパレットは、ピンクベージュ、ホワイトなどの柔らかく淡い色彩と、ブラック、グレー、ネイビー、深紅といったダークなカラー。相反する色を組み合わせることで、楽しかった過去の思い出が時間と共におぼろげになってゆく切なさを表しているかのようだ。
そして今回タロウホリウチには珍しく、柄のあるテキスタイルが数多く登場している。田舎のソファなどによく使われ、時には野暮ったくも感じられるゴブラン織や、おばあちゃんの家に飾られているような昔ながらのクラシックなバラや果物のペインティングをデジタル処理したプリント、ヘリンボンのプリント加工を施したメルトン。その全てが愛しき日々の追憶の結晶として、見る者の心に訴えかけてくる。
一方で、シルエットやディティールで今年らしさをプラス。ゴブラン織とレザー、ボアをミックスさせたコートや、シンプルなチェスターフィールドコート、衿付きケープなどビッグシルエットのアウターに細身のパンツを合わせ、すっきりと。そして、ランダムに布地をレイヤードしたプリーツスカートや、裾に同じ生地を重ねて、わずかにボリュームをつけたジャケットなど細やかなディティールが魅力的なアイテムも注目だ。
重めのシルエットを活かしたり、スニーカーでスポーティな要素を加えたり。現代的なバランスで全体をまとめることで、クラシカルなモチーフをスタイリッシュな印象へと生まれ変わらせた。