ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)の2013年春夏メンズコレクションのインスパイア源は、インドの民族衣装。ヴィヴィッドなカラーとリラックスした柔らかなシルエットを、伝統的なテーラード技術でモダンスタイルに融合させた。
カラーパレットはベージュやホワイトの淡いカラーから始まり、濃淡様々なサーモンピンクやオレンジといったヴィヴィッドなカラーへ、そしてショーの後半にはブラックやグレイのといったダークな色合いへと変化。まるで夜明け前から、暑さ和らぐ夏の夕べへと移ろう空を写し取ったかのよう。通気性に優れたコットンやウールシルクなど、夏の暑さに配慮した軽い素材が中心に用いられ、シルエット全体もリラックスしたムードを演出した。
トラディッショナルなヘリンボーン柄が形を変えて、随所にモダンなアクセントとして登場。ミラーピースを手刺繍で縫い付けたものやジャカード織、手描きのプリントなど、質感の異なる多彩な表現がスーツというスタンダードアイテムの表情を豊かに見せてくれる。
ショーの後半は、ブラックやグレーのベースにシルバーのラペルがきらめくスーツや、春夏シーズンに重くなりがちな「黒」を爽やかに着こなせる透け感のあるニットを提案。足元はメタリックなオレンジやシルバーを効かせたスニーカーを合わせて少し着崩せば、こなれた印象へと導いてくれる。
クラシカルな柄やアイテムを、色彩と輝きの魔法にかけたヴィクター&ロルフ。思いがけないひと捻りのスパイスが香り、ワンランク上のジェントルマンの装いを提案していた。