パリで発表された、ディオール(Dior)の2012-13年秋冬オートクチュールコレクション。4月にディオールのアーティスティック・ディレクターに就任したラフ・シモンズによるディオール初のコレクションショーは、会場の招待客はもちろん、オンラインからも世界中の人々が見守る中スタートした。
壁一面を花々に覆われた会場に登場した、記念すべきファーストルックは、メゾンを象徴する黒のバージャケットにシガレットパンツ。ショー後のインタビューでシモンズ自身が語るように、メゾンの未来と歴史が軽やかに時空を行き来しながら、このコレクションに宿らされた。
1947年のニュールックのシルエットは、現代女性のためのニュールックへ。シモンズらしいミニマルで構築的なドレスには、クラシックな刺繍が咲き誇った。鮮やかなブルーに染め上げられたミンクのジャケットやアストラカンのドレスからは、メゾンの未来を託された彼の信念が見てとれる。
「クチュールとは、単に新しい方法でシェイプやアティチュード、色などに取り組むことだけではありません」とラフ・シモンズは語る。「オートクチュール・コレクションは、クチュールに関連する業界全体が一丸となって、これまでにない方法で業界と関わる事により、新しいカタチに取り組むことでもあるのです。すでにしっかりとした基盤が完成しているこの業界では、比べものにならないほど優れたクラフツマンがたくさん活躍しています。しかし、典型的なシルクやサテンやシルク、チュールだけを手に取るのではなく、そうしたクラフツマンたちと協力して、新しいクリエイションやカタチを生み出していくことが重要なのです」(ラフ・シモンズ)