ベッドフォード(BED j.w. FORD)は、2020年春夏メンズコレクションを2019年6月16日(日)にイタリア・ミラノで発表した。
今季のクリエーションにあたり、「強い男性像」を描きたかったと話すデザイナーの山岸慎平。しかし、ワーク、ミリタリー……と考えているうちに、自らの求める強い男性像が既存の価値観には当てはまらないことに気がついたという。マスキュリンであることだけが強さではない。
コレクションの核を成す山岸の価値観は、ピースの繊細な仕立てや、自由な着こなしに顕著に表れていた。テーラードジャケットに緩やかなドレープのパンツ、ラフにボタンを開け、襟が垂れ下がるように着たブラウス、ウエストに紐を配したしなやかな千鳥格子のガウンは、いわゆるマッチョ的な発想、無骨さとは一線を画す優雅さを感じさせる。凛としたエレガントな佇まいの中に見えてくる、芯の強さこそが男性の“強さ”と言えるのではないか。
オーバーサイズのロングシャツには、リュックを背負うようにしてアウターをコーディネート。コートの内側にあしらわれたストラップに腕を通すことで、アクティブなスタイリングに。分量感のある生地をたくし上げるようにして、紐でウエストマークしたブラウス、ポケットやドローストリング、フードを配したコンパクトなブルゾン、首にかけた喫煙具のネックレスなど、活動的でプレイフルなアイテムも散見された。
どこかオリエンタルな雰囲気が漂っていたのも印象的だ。装飾的なインドの手刺繍をあしらったブラウスやジャケットは、静かな華やかさを感じさせる。京都の手染めで表現されたブリーチのレザージャケットは、水彩画のように曖昧な色味が抽象的な模様を織り成している。
エメラルドグリーンにイエロー、オレンジを切り替えたロングコートは、バックにアディダス(adidas)のロゴ、袖にはスリーストライプスがあしらわれている。透け感のある生成りのブラウス、サスペンダーパンツといったクラシカルな着こなしの上に、軽やかに羽織ることで、都会的なムードを演出する。