コモン スウェーデン(CMMN SWDN)の2020年春夏コレクションが、2019年6月18日(火)にフランス・パリで発表された。テーマは、アラビア語で“コミュニティー”を意味する「Ummah」。
国、文化、民族とあらゆる分野でのボーダレス化が加速する近年、世界は様々なものが混ざり合うことを受け入れる新たな時代へと足を踏み出しているように感じる。そんな背景を踏まえた上で今季ブランドのデザイナー2人が目を向けたのは、自分自身のオリジン。スウェーデンとイラクを起源にもつ彼らは、それらの国が持つ特徴的なテイストを織り交ぜたオリジナリティ溢れるコレクションを展開していく。
ベースとなるのは、街に溢れる“西洋”のワードローブ。シャツやパンツ、ジャケットといったベーシックなアイテムを使用した着こなしには、必ずどこか中東の要素が含まれていて、ぐっと観客の視線をひきつけていく。最も象徴的だったのが、頭に巻かれたスカーフ。アラビアの衣装のアイコンともいえるこの装飾は、キャップの下に差し込んでみたり、シャツと同柄で揃えてみたり、それぞれ思い思いのコーディネートを楽しんでいる。
また中東の伝統的なオーナメンタルプリントをあしらったテキスタイルも印象的。素材には、シルクオーガンザやナイロン、ニットといったファブリックを使用して、モダンなアレンジを加える。模様部分だけに肌を透かせるファブリックをあしらったブラックのシャツは、繊細なカットワークを連想させるデザイン。パンツ、シューズ共にオールブラックで揃えることで、肌を透かせるそのパターンがセンシュアルなムードをプラスする。
シルエットは、程よくゆったりと。リラクシングな空気がコレクション全体を包んでいる。互いの存在を強調するのではなく、“いかに溶け合うか”に焦点を当てる。コレクションから感じたそんなデザイナーのアイディアは、互いの文化を認め尊重し合う世界平和へのキーになるのかもしれない。