ジュン・ジー(JUUN.J) 2020年春夏コレクションが、2019年6月22日(金)フランス・パリで開催された。
今季のジュン・ジーは、伝統的なフォーマルウェアをブランドらしい挑戦的な視点で再解釈。
ファーストルックから登場したレザー仕立てのカバーオールは、ジャケット×パンツのスーツスタイルをドッキングさせたようなデザイン。スーツジャケットにあたるそのショルダーは大幅に拡張されていて、ツンと天を向くシャープなフォルムが特徴。ボトムス部分は、実際にジャケットと組み合わせるパンツデザインと連動しているようで、ワイドパンツ、細身のスラックス、細身のハーフパンツ…と、表情を変えていく。
そんな“フェイク”フォーマルウェアに、実際のスーツジャケットとレイヤードしたルックも登場。けれど相変わらずその肥大化したショルダ―はそのままで、その裾は足の長いモデルの膝下まで伸びているという具合だ。
“次は、フォルムはこのままに素材を変えてみてはどうだろう。”そんなデザイナーの閃きがワードローブに投影されていくかのように、クラシカルなネイビー、グレンチェック柄、ピンストライプ柄…と、フォーマルウェアの象徴的なテキスタイルが次々とワードローブを象っていく。それでもやはりその拡張された肩は不自然で、いかに伝統的な要素を詰め込んでみても、当然ながらクラシカルなムードに傾くことはない。
やがてそれらのワードローブには、ミリタリーとスポーティーな要素とも融合されていく。フラップポケットを巨大化させたミリタリー風ベストには、ボリューミーなジップ付きジャケットをスタイリング。ジップの開閉によってスカートのようなフォルムに変形するミリタリーパンツには、スポーティーなカモ柄のタンクトップを組み合わせている。やはり1つ1つの洋服には、本来のユニフォームの要素からはどこか外れていて、デザイナーの斬新な視点1つで洋服は“何にも属さない”ジャンルへとカテゴライズされていく可能性があることに気付かされる。
全ての色を“抜いてしまった”ワードローブがその好例。ミリタリーやスポーティーな要素を引き継ぎながらも、他のアイテムと配列していなければ、もとは何をベースにしていたのかを想像することは決して容易ではない。ブランドの目指す“新しいデザイン”の創造とは、従来の固定観念にとらわれないウィットなアイディアの積み重ねから生まれていくのだろう。