ユリウス(JULIUS)は、2020年春夏メンズコレクションを発表した。
今回のテーマは「自然」。テクノロジカルなネットワークが拡大を続け、実体の無い混沌とした世界を繰り広げる現代において、対照的に広大な“生態系”というカオスを展開する自然に着目した。また、人間と自然が複雑に結びつき、影響し合い、互いに規定し合っていく中で、説明不可能な現象や物質に対する精霊信仰、いわゆる「アニミズム」も表現。コレクションタイトルの「Afangar;」はマダガスカル語で“ハイブリッド”を示している。
また、精霊との対話を活動の主軸としたヨーゼフ・ボイス、資本主義のサイクルから脱却しようとした「ランド・アート」運動などからもインスパイア。自然ならではのストイックさや、スピリチュアルなムードを表現した今季は、前シーズンまでに見られたような反骨的なストリートテイストや、極端な造形が影を潜め、オーガニックでナチュラルなデザインが散見された。
ゆったりとしたロングブラウスやサルエルパンツ、幾何学的なモチーフのカットソー、裾に向けて細かく波打つような造形のワイドパンツなどは、荒涼とした環境に似合う無骨な雰囲気が印象的。デザインのシンプルさは粗野な空気感をまとって多くを語らず、ただ身体へと、空間へと馴染んでいく。
構築的に仕立てられたブラックのロングガウンは、後ろから見ると重層的な作りになっており、風を受けてなびくと独特のシルエットを描く。フード付きパーカーやシャツ、ロングコートなども同様に、動きのあるフォルムに形作られており、有機的な存在感を放つ。
素材は、樹木の表皮、泥土、風化した岩石など、自然界に存在する不規則な凹凸や節のある質感を、麻や綿などで表現。乾いた土を思わせる色味の、生成りのローブは、生地をたっぷりと使用し、ねじるように仕立てることで、緩やかなドレープを生み出す。陽の光を通すような柔らかさと、触れた時のざらっとした硬さを持ち合わせたファブリックによって、表情豊かに仕上げられている。
加えて、紐を編み込むようにして作られたエキゾチックなネックレスや、土を焼いて成形したブレスレットなど、プリミティブなアクセサリーも展開される。