ユリウス(JULIUS)は、2024年春夏コレクションを発表。
今季のインスピレーション源となったのは、ギリシア神話の太陽神・ヘリオス。思い上がる人類が招いた制度の崩壊やディストピアを目の当たりにしながらも、太陽を待ち、希望を捨てずに世を渡り歩いていくための服を提案している。
散見されたのは、太陽の光を思わせるシャイニーな質感をまとったウェアだ。チタンを吹き付けたシルバーのベストやカーゴパンツは光を含んで程よい光沢を放ち、複雑に張り巡らされたウェビングコードによりまるで身体をプロテクトするための鎧であるかのような、タフな佇まいに。艶のある素材を用いた二重構造のブルゾンやパンツ、立体的なポケットを身頃にいくつも備えたシアーなベストもまた、細やかな光と無骨さのバランスが独特な存在感を放っている。
シルバーやレッド、ブラックのシースルーブルゾンやトップスは、波打つようなシワと軽くしなやかな素材感が相まって幻想的な雰囲気を漂わせる。シースルー素材同士を重ねたレイヤードスタイルはその神秘性を際立たせる一方で、異素材のベストやベルトなどと組み合わせると、光を通す透け感とのコントラストにより陰影がより濃く刻まれていくのが印象的だ。
加えて、AIが生成したグラフィックのメッシュカットソーやTシャツも象徴的。AIから生み出される“ディープフェイク”が蔓延した世の中を、人類の驕りが招いたディストピアになぞらえ、抽象化されたモチーフを大胆にプリントすることでどこか退廃的なムードを漂わせている。
さらに、躍動感のあるディテールも多数見て取れる。たっぷりと布地を用いてドレープを効かせたカットソーやさらりと羽織ったロングコートは古代ギリシアの服装を彷彿させ、レーザーによるダメージ加工で糸を骨組みのように連ねたフーディーやパンツもどこかプリミティブな空気を帯びている。
メッシュ地をベースに麻のフリンジを毛皮のようにあしらったブルゾンや、蜘蛛の巣のように大胆な編み目に仕上げたニットストールなど、“動き”を取り入れることで有機的に仕上げたデザインも目を引いた。