2012年10月11日(木)、東京・富ヶ谷の白寿ホールでエンハーモニック・タヴァーン(Enharmonic TAVERN)の2013年春夏コレクションが発表された。テーマは「クラシカル マッドリィ(Classical Muddley)」。既成概念にとらわれないクラシカルなスタイルを提案した。
1970年代にイギリス、ポーツマス美術学校の学生を集めて結成された世界最悪の交響楽団「ポーツマス・シンフォニア(THE PORTSMOTH SINFONIA)」。当時、交響曲「ツァラトゥストラはかく語りき」を演奏したレコードが、「Classical Muddley」というタイトルで売り出しヒット。今コレクションのタイトルでもあるその「Classical Muddley」の強烈な不協和音をバックに、タクトを手にした指揮者風のロングジャケットのモデルがファーストルックに登場した。
ポーツマス・シンフォニアがクラシック音楽に対しての"予定調和からの脱却"ならば、エンハーモニック・タヴァーンはトラッドやドレススタイルに対して"暗黙のルールからの脱却"。その思いはデザインやディテール、素材選びにも表れている。
ジャケットのポケットに紙を使用したり、エンジニアコートに燕尾服のディテールを使用したり。といっても、デザイン性だけではなく実用性も実現しているところが、過去の価値観にとらわれない、今回のテーマに適っている。例えば、紙のポケットはNASAでも使用されている破れない特殊加工を施されてた素材で丈夫な作りだ。
オーケストラが奏でる音楽のように、スポーツやワーク、50's~80'sなど様々な年代、テイストがミックスしながらも、素材においては艶やかでクリーンなイメージ。グリーンのギンガムチェックのウイングカラーシャツ、ライトオンスのデニムジャケット、バッグジップのついた薄く柔らかいライトイエローのニットなど、爽やかな印象を受ける好感度の高いアイテムが多く登場した。現状に満足せず、前向きに進んでいこうとする革新性を強く打ち出すコレクションとなった。