2012年10月17日(水)、エトヴァス ボネゲ(Etw. Vonneguet)が2013年春夏コレクションを新宿ワシントンホテルのマンハッタンラウンジにて発表した。テーマは、「I melt」。この「溶ける」というコンセプトは、デザイナーのオルガ(Olga)がふとしたときに「消えてなくなりたい」という感じるその瞬間からヒントを得ている。
主役となった色同士が溶け合うテキスタイルは、オルガの手描き。乳白色をベースにパープルやレッド、グリーンをぼんやりと溶け合わせたミルキーな印象のものから、フューシャピンクやイエローがネイビーと混ざり合うダークなものまで、様々な表情を見せてくれる。
色彩と呼応するかのように、シルエットも優美。ドレープや生地が溶けて固まったかのようにみえる独特の加工を用い、生地を流れるようにたるませていた。またスタイリングもルーズな雰囲気が漂い、ゆったりとしたクロップトパンツやロングのニットストールなどが登場した。フロントを切り替えたウィングカラーシャツやボートネックのシルクワンピースなど、クラシカルなアイテム使いもエレガントなイメージとマッチしている。
ラストにはモデルが手に霧吹きを持って現れ、おもむろに服にカラーウォーターを吹き付けるという演出も。みるみる不織布のような素材が溶けて形を変え、「服を溶かしてしまう」という光景に会場は驚きに包まれた。これまでショーピースらしいコレクションルックの発表を避けてきたエトヴァス ボネゲ。その理由は、実際に着られないものを誰のために作るのかという、腑に落ちない想いが合ったからだという。ショーピースの意味を「その場に立ち会った者だけが見ることのできる」と解釈し直すことで、儚さの美という新たな領域へと飛び込んでいったようだ。